第21話 狼と更新料

今、私とアミメキリンは、タイリクオオカミに漫画の読み聞かせをして貰っている。

かばんちゃんとサーバルちゃんは、前にも聞いた事があるらしく、先に客室みはらしに休みに行った。

アミメキリンも何度か聴いた事があるが、「何回聴いても飽きない」という事で改めて聴いているらしい。

確かに、タイリクオオカミの読み聞かせは上手い。

元々、文字が読めないフレンズにも楽しんで貰う為に、今の紙芝居風の漫画を描くようになったそうだが、間の取り方や、抑揚が絶妙で、漫画の世界観にマッチしている。

台詞一つ一つから息づかいすら感じられる。

読み聞かせに没頭していると、あっという間に時間は過ぎ、今完成している分を一通り読み終えてしまった。


「すごく面白かったよ。続きはまだまだ先なの?」


「いや、実は考えてはいるんだけどね。

どうせならもっと良くしよう思ってね。

色々と取材をしてるところさ。

それでリン、君の良い表情かおが見たい訳だけど……そうだね、何か怖いものはあるかな?」


キリンかなー、やっぱり。

自分では思わないけど狩猟豹チーターってよく言われる。

……まぁ、こんな答えを望んでる訳じゃないだろうから普通いつも通りに答えるけど。


「狼が怖いかなー。

特に寝床に入って来て密着されたりなんて、考えただけでも怖いね」


私らしくて、わざとらしい答えを返す。


「なるほど、参考になったよ。

早速試してみるとしようか」


意外とノッてくるタイプだったタイリクオオカミと、客室なかよしに行き、同じベッドに入る事になった。


ノリって怖いね。

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