第20話 意味が露骨な怖い話

飛行型セルリアンに手間取ったせいで、ロッジアリツカに着いた頃には、すっかり暗くなっていた。

夜行性のサーバルちゃんや、睡眠がそれほど必要ない私と違って、かばんちゃんは少し眠そうだ。


早速、ロッジに入っていくと


「いらっしゃいませー。

かばんさん、サーバルさん、それから――」

「待って!私が推理してあげるわ。

しなやかな手足に、サーバルより大きな体格、周りの様子を窺う仕草……

これらの証拠から、あなたは―― 狩猟豹チーター ね!!」


アリツカゲラの丁寧な接客と、アミメキリンの雑な推理に迎え入れられた。

せっかくなので私は、右手を軽く握り、肩より少し上まで持ってきた――所謂、招き猫のポーズをとった。


そして、一言。


「私はチーターのリン。よろしくね?」


途端、「私の推理に狂いはなかったわ!」と、勝ち誇るアミメキリン。

「えー!?リンちゃんってチーターだったの!?」と、驚くサーバルちゃん。


「まさかこんなに冗談が上手いフレンズがいるとはね。

今回ばかりは、私も驚かされたよ」


一部始終を見ていたタイリクオオカミが、肩をすくめながら言った。


「私がフレンズだとは一言も言ってないけどね」


私の発言にタイリクオオカミの表情が険しくなる。


「それは一体、どういう――」

「なんてね。冗談だよ。

ふふっ、 良い 輝き 頂いたよ」


タイリクオオカミが普段使っているらしい台詞を私流にアレンジして使ってみる。

たまにはこういうのも本来の私らしくて良いかもしれない――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る