第19話 当たるまで続ければ100%当たる

みずべちほー でPPPのライブを満喫した私達は、次の目的地 ‘ロッジ’ に向かってバスを走らせて――いなかった。

今までが上手く行き過ぎていたとも言えるが、今回は運悪くセルリアンに出くわしてしまった。


「うみゃー!飛んでるセルリアンなんて初めて見たよ。

ジャンプしても届かないし……どうすればいいかな?」


「リンさん、サンドスターで何か投げる物を――いや、 ‘弓矢’ って作れますか?」


よ。

ただ、あんな風に飛び回られると当てるのは難しいかも」


飛行型セルリアンは攻撃してくる様子を見せない。

これはつまり偵察の役割をしていると考えるべきだろう。

被害がないからと無視していると「他のセルリアンに囲まれてた」なんて事になりかねない。


「それなら試してみたい事があるんですが……」

「そっか、なら試してみようか?」

「はい!多分、大丈夫だと思いますが、ダメだった時は――当たるまで続けましょう!」


いざとなったらゴリ押し、ね。

かばんちゃん、逞しくなったなぁ……




   *



かばんちゃんの策を実行する為に、バスに乗り込み、飛行型セルリアンが追い付ける程度の速度で移動する。

そうするとセルリアンは真っ直ぐこちらに向かって飛んでくる。


これなら確かに狙いやすいね。

確実に当たるとは言えないけど、当たる確率の方が遥かに高い。

だったら外せないね。


弓を引き、セルリアンを狙う。

走るバスが多少揺れても気にせず、集中。

見据えるは、ただ一点の石。

弓がギリギリと音をたて、最大まで張りつめたところで矢を放つ――


やや右に逸れたかに思われた矢は、風の影響を受けたのか、結果的に石のド真中まんなかを貫いた。


パッカーン


小気味良い音と共にセルリアンが砕け散る。

サーバルちゃんは「すっごーい!」と、興奮覚めやらぬ様子だ。

かばんちゃんは「お疲れ様です」と労ってくれた。


ちょっとは格好いいところ見て貰えたかな?

――ゴリ押しじゃなくて、本当に良かった。

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