第16話 好奇心は猫をも――
「それにしてもリンちゃんって変わってるよね。
私だったらあんなに浸かってられないよ」
サーバルちゃんの声が聞こえる。
サーバルちゃん達は、普通の温泉に入っている。
そして、私が入っているのは、少し離れた所にある水風呂だ。
水温は低めだが、気温も低いせいか、まるで冷たく感じない。
とはいえ、あえて水風呂に入る私は変わり者なのかもしれない。
しかし、変わり者と言われようと、暖まるのを後回しにしようと、眺めておくべき絶景は、今、ここにあるのだ。
サーバルちゃんは、体を振って水気を飛ばしている。
うん、色々と揺れ具合が良い感じだね。
だけど、もうちょっと恥じらいがあった方が私は好きかな。
ギンギツネは、キタキツネの背中を流してあげている。
やっぱり仲良いなぁ……
絶景を堪能した私は、水風呂を出て、かばんちゃんだけが残る湯船の方へ向かった。
冷えた体を急に温め過ぎないように、末端から掛け湯していく。
両足、右手を終え、左手にお湯を掛けている時、かばんちゃんが口を開いた。
「指輪、外さないんですね」
「大事な物だからね。
あ、お湯に浸けても変色したり錆びたりはしないよ?」
……そういうことを心配して言った訳じゃないだろうけど。
「……そうなんですね。それなら安心です」
この後、色々と気を遣い過ぎた かばんちゃんが私に合わせて長湯し、のぼせさせてしまって申し訳ない気持ちになった。
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