第11話 趣味:石集め
カンッ カンッ カンッ
規則正しく小気味良い音が鳴り響く。
ひび割れた岩が崩れ、良質な金属を含んだ鉱石が転がり落ちる。
私とかばんちゃんは特に何も言うことなく、それを運んでいる。
「これでバスを直すんだよね?
どうやって使うの?」
「ただの石に見えるけど、思ったように形が変えられるんだよ。
それで足りない部分を補おうと思うんだ。
ただ、それには火を使わないといけないから、その間サーバルちゃんには退屈させちゃうかも……」
「平気、平気、きっと退屈なんかじゃないよ!
それに今のうちに活躍しちゃうんだから!
うみゃみゃみゃみゃみゃみゃー!!」
「あはは……張り切ってるね、サーバルちゃん」
かばんちゃんの言うとおり、サーバルちゃん一人で私達二人分以上に鉱石を運んでいた。
これだけあれば多少失敗しても足りなくなることはなさそうだ。
「ん?これはもしかして……?」
鉱石の中に混ざっていた、一見普通の石を拾い上げ、よく観察してみる。
「どうかしたんですか?」
「これ、カンラン石――ペリドットっていう宝石の原石だよ。
あ、宝石は古くから通貨や装飾として使われてるんだよ。
こんな風に」
左手の薬指の指輪を見せる。
指輪にはキラキラと輝く大きな石が嵌めこまれている。
それを見たかばんちゃんの、何処か困惑した表情に、私は気付かない振りをした。
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