駒里大成・串内青葉・広内金華苗穂 三人のつながり・・・

第161話 大成、ゴッドマザーの口から衝撃的な言葉を聞かされる

 ゴッドマザーの顔色が誰の目から見ても変わった。

 その一言には恐ろしいほどの殺気が込められていたので、俺も思わずゴッドマザーを直視してしまったほどだ。これが『広内金ひろうちがね家のゴッドマザー』と恐れられている人物なのか、と思わざるを得なかった。でも、普通の人が見たら委縮してしまうだろうけど、俺は平然と受け止めていた。

「正直に言うけど、俺は分からない。いや、過去に俺と何らかの関係がある代物なのかもしれないけど、俺は覚えてないと言った方が正しい」

 俺も表情を変えずに答えたけど、その答えにゴッドマザーは「ふー」と軽く息を吐いた。でも、さっきまでの恐ろしいほどの殺気はなくなっていた。

「やれやれ、君は本当に自分が何者なのか、なぜ華苗穂かなほの隣に座っているのかを忘れてるとしか、いや、教えられてないとしか思えんのお」

「へ?・・・どういう意味?」

 俺にはマジでゴッドマザーが言ってる意味が理解できない。だいたい、俺が広内金先輩の隣に座っている事に意味があるのか、などと聞かれて即座に答えられる訳がないだろ!と文句を言いたいくらいだぞ。

 だが、ゴッドマザーは俺と広内金先輩を交互に見た後、「はー」とため息をついた。でも怒っている訳ではなさそうだ。

「・・・華苗穂」

「はい!」

 いきなり広内金先輩はゴッドマザーに話し掛けられたから返事をした声が完全に上ずっていて突拍子もない声になっていたから俺は内心笑ってしまったけど、今はそんな事を言ってる場合ではない。

「・・・お前はなぜ自分が大成たいせい君の隣に座っているのか分かってるのか?」

「へ?」

 広内金先輩もゴッドマザーの質問に硬直している。そのまましばらく考えていたけど「すみません、ボクも本当に分かりません」と言って頭を下げたから、ゴッドマザーはもう1回「はー」と短いため息をついた。

「・・・やれやれ、大成君はともかく華苗穂、お前は知っていて当然だと思っていたのじゃがのお」

「知っていて当然?ボクがですかあ!?」

「そうじゃ。華苗穂、お前は嘘をついてはおらぬか?」

「いえ、天地神明に誓って嘘は言ってません!」

「では、状況から見て何か気付かぬか?」

「・・・すみません、ホントに分かりません。ごめんなさい」

 この言葉にゴッドマザーは「勘弁して欲しいぞ」と呟いた後、「はーーーーー」と今までで一番長いため息をついて顔を伏せてしまった。

 しばらく顔を伏せたままだったけど、その顔を上げた時の表情は真面目そのものだった。その視線は真っ直ぐに俺を捉えていた。


「・・・大成君、華苗穂はお主の許嫁いいなずけだ」


「「「えーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」」」


 俺だけでなく、青葉あおばも、それに広内金先輩もほぼ同時に大声を上げたのは言うまでもなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る