第149話 大成、ノホホン病(?)に感染する

 俺たち生徒会執行部のメンバー6人は全員が揃った時点で仕事にとりかかったのだが・・・本来なら忙しい筈なのに今日はだ。

「・・・かいちょー」

「ん?キラキラちゃん、何かあったのー?」

「はーー・・・何度言っても『キラキラちゃん』だけは変えてくれないから諦めましたけどー、これー、間違ってませんかあ?」

「えーとー、どこが違ってるのー?」

「だってさあ、これだと体育館を全部使っても入りきれないですよー」

「あら、本当だあ・・・」

「あおばー、第二体育館は一般来場客の休憩所として開放するんだぜー。それを忘れて計画表を承認しただろー」

「たいせー、どうしよう」

「そーんな事を俺に言うなよー。代案を出して実行委員会で承認してもらうしかないぞー」

「そうねー。恵比島えびしませんぱーい、何か代案ないですかあ?」

「おいおい、いくらおれでも直ぐに代案は作れないぞー。たまには広内金ひろうちがねが強権を発動して全部白紙にしてもらった方が早いぞー」

「ボクが強権を発動していいなら体育館どころか全てのイベントを白紙に戻すぞー」

「うわっ!華苗穂かなほ先輩、それは強引すぎまーす!」

「だろ?それなら実行委員会に素直に謝って実行委員会で検討してもらえばー?」

「うーん・・・」

「あおばー、無い知恵を絞ってるフリをするなよー」

「あー、バレたあ!?」

「「「「「アハハハハハー」」」」」

 そう、俺たちは清風祭の準備作業に取り掛かっているのだが、手違いとか勘違い、それと実行委員会がまだ1回しか行われてないこともあり、まだノロノロと始動したばかりなのでエンジンのかかりが遅いのだ。いくつかのイベントは去年のコピペなのは間違いないのだが、今年は創立70周年、つまり清風祭も第70回の記念祭だから新しい趣向をこらしたイベントや過去の人気イベントの復活などの目玉イベントもやる計画でいる。でも、これらの資料が古い事や資料そのものが無いから、いざ実行委員会に下ろした後からミスが見付かる事も多い。

 本来なら大問題なのだが・・・なーんとなく今日はのんびりムードだ。

 それに・・・何故か6人全員、のだー!

「・・・なーんとなくだけど、今日はテンション低いよねー」

「会長がそんな事を言うのは珍しいですよー」

「そういうキラキラちゃんだって同じでしょー?」

「うーん・・・たしかに今日は『どうでもいいや』っていう感じですねー」

「だいたいさあ、今日は広内金先輩と恵比島先輩が1回も夫婦めおと漫才まんざい(?)をしてないという事がその証拠じゃあないのかあ?」

「あー、言われてみれば今日は恵比島クンのボヤキがないなあ」

「広内金こそ、いつものヘラヘラ感がぜーんぜん無いぞー」

大成たいせい君、なーんとなくだけどかえでちゃんのノホホンムードが生徒会室に蔓延してるような感じなんだけどー」

「ナルホド、たしかに美利河ぴりかさんの言うとおりだー・・・」

「大成もそう思うー?」

「もしかしたら楓のやつ、学校にノホホンの思念体を残して超ハイテンションで出掛けたかなあ・・・」

「あー、それ、私もそう思ったー」

「わたしもそう思うわよー。だってさあ、去年の宿泊研修の時、普段は大人しい子も超がつく程のノリノリだったわよー」

「そう言われてみれば僕も最初は乗り気ではなかったけどー、いざ始まったら180度テンションが入れ替わった感じだったよー」

「おれもそうだったぞー。そう考えると犯人は駒里こまさとの妹かあ?」

「恵比島クンもそう思うかあ?となると、やっぱり楓ちゃんが真犯人なのかなあ」

「楓の思念体が生徒会室に座ってるのかあ!?」

「まさに楓ちゃんのノホホン病に全員が感染したとしか思えないぞー」

「広内金せんぱーい、そんな事を言うと楓が怒りますよー」

「楓ちゃんの事だからー、逆に『あらー、そうだったかしらー』とか言いそうだよなー」

「そだねー」

「「「「「「アハハハハハー」」」」」」

 とまあ、やる事なす事すべーて調子が上がらず、まさに生徒会室に楓のノホホン病(?)が蔓延した状態で全然仕事が捗らないし、何かを考えようとしても全然アイディアが浮かんでこない。

「あおばー、今日は終わりにしようぜー」

「珍しいなあ、駒里が一番最初に言い出すなんてさあ・・・」

 俺はこのノホホンムードの中で仕事をしても無駄だと思って青葉あおばに提案したのだが、珍しく恵比島先輩が突っ込んできた。それくらいに俺が言い出すのは珍しい事なのだ。逆に言えば俺が言い出さないといけないほど、生徒会室にノホホン病(?)が蔓延している!?

 青葉はニコッとしたかと思うと

「そうね、今日は終わりにした方がいいかもー」

「賛成でーす!僕はさっきからお腹がグーグーなってますよー」

「こじょーはまー!お前のお腹だけはノホホン病が感染してないのかよー!」

「えー、勘弁して下さいよお」

「「「「「「アハハハハハー」」」」」」

「まあ、この時間なら『めでたい焼き』の閉店までに間に合うから寄って行きましょう」

「あれー、会長が言い出すなんて珍しいですねー」

「まあ、たまには私が言い出しても全然おかしくないよー。それにー、何か買ってくれるならサービスするわよー」

「あおばー、先週やらかした大量の失敗作をみんなに振舞う気かあ!?」

「ギクッ!さ、さあ、何の事ですかねえ ♪~(´ε` ) 」

「まあ、それは知らなかったことにしておいてー、恵比島先輩たちも寄って行きませんかあ?」

「おれは別に構わないぞー」

「あー、わたしも行きまーす」

「僕も行きまーす」

「みんなが行くならー、ボクだけ行かない訳にもいかないからなあ」

「それじゃあ、決まりですねー。青葉、鍵は頼んだぞー」

「らじゃあー」

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