第140話 大成、再び罰ゲーム(?)でデートする⑯~それを半分ずつ食べよう~
はて?一体、何のことだ?・・・そう言えば・・・たしか
俺は
「もしかして・・・シノロワールの事ですかあ?」
「ぴんぽーん、その通り」
「いやあ、俺も忘れてましたけど、クラスの女子が言ってたのを思い出しましたよ。たしかコメヤ珈琲の人気商品ですよねえ」
「その通り。あたしのお勧めは『小倉トースト』と『シノロワール』の二つだよ」
「どっちを注文するんですか?」
「そ、その事なんだけど・・・」
俺は石狩さんの顔を見たけど、石狩さんは顔を真っ赤にしたかと思うと
「ひ、ひとつずつ頼んで、それを一緒に食べないか?」
「へ?」
「だ、だから、シノロワールと小倉トーストを1つずつ頼んで、それを半分ずつ食べよう」
それだけ言うと石狩さんは恥ずかしいのか顔を明後日の方向に向けてしまったけど、やれやれ、そんなに恥ずかしいなら1個ずつなどと言わず一人1個でいいのに・・・いや、あるいは・・・
「・・・俺は別にいいですけど、もしかして普段から体重に気を付けてるんですか?」
その一言に石狩さんは一瞬だけ「ハッ!」とした表情をしたけど、俺をマジマジと見つめた後に軽く「はーー」とため息をして
「そ、それもちょっとはあるけど、あたしもたしかに大会前は減量してるけど
「そうなんですか・・・」
「筬島先輩は入学した当初は今よりも1クラス上で、あたしと同じ63kg級だったのをわざと1クラス落として57kg級にした事で成功した。だけど、その代わり毎回制限体重ギリギリで計量をパスしてる程だから水泳が出来ないくらいに体脂肪率が低いんだ」
「マジかよ!?それって体に良くないんじゃあないですか?」
「うん。だから筬島先輩は柔道は高校までだって言ってる。元々
「うわっ!『清風山高校の猛獣』とまで言われてる筬島先輩がナース服を着てる姿は全然想像出来ない!!」
「だろ?だから
「だろうね」
「ま、ちょっと話が逸れてしまったけど、半分ずつ食べるという事でいいかなあ」
「石狩さんがそれでいいというなら俺は構いませんよ」
「うん。それと、あたしはコーヒーはブレンドだけど駒里君は?」
「あれ?石狩さんはアメリカンじゃあないんですかあ?」
「うっ・・・お、お父さんがいつもブレンドコーヒーを飲んでたから、あたしもコメヤではブレンドなんだ」
「へえー」
「そ、それにお父さんからコメヤのチケットを2枚もらってるからブレンドコーヒーならタダだよ」
「それじゃあ、俺もブレンドで・・・あれ?百円追加で『たっぷりブレンド』になるって書いてありますね」
「うん、そうだよ」
「あのー、その百円は俺が出すから『たっぷりブレンド』にしませんか?」
「えっ!いいのか?」
「気にしないで下さい。コーヒー代は石狩さん持ちと同じですから」
「すまん・・・じゃあ『たっぷりブレンド』2つという事で」
「りょーかい。すみませーん、注文いいですかあ?」
『あー、はい。ただいまお伺いしまーす』
「・・・(はーー、本当はお父さんから無理矢理チケットを2枚譲ってもらったが正しいんだけどなあ。相当恥ずかしかったけど上手く誤魔化して予算内で収めたけど、財布の中身が無くなったじゃあないかよ!)・・・」
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「聞いた?シノロワールを半分ずつ食べるって言ってるわよ」
「これじゃあ、本当のデートじゃあないのー」
「こっちだってシノロワール1個を3人で食べるんだろ?」
「でもさあ、こっちはお金が無いからシノロワールだけを3人で食べるんだよ。しかも水だよ」
「あちらさんとは意味が違うわよー」
「はーー・・・兄貴には『めでたい焼き』というスポンサーがいるからなあ、とほほ・・・」
「わおー、結構大胆な事を言ってくれるわねー」
「さっき腕を組んだから大胆になったのかな?」
「まあ、こっちだってシノロワールは2人で食べるけどねー」
「サクランボはぜーったいにそっちが食え!」
「分かってるわよ。サクランボが嫌いなんでしょ?」
「うるさい!」
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