第119話 大成、急転直下の出来事に相当焦る
おいおい、俺はマジで今の
俺は
「・・・あのね
「深い訳?何ですか、それは?」
「その子はねえ、好きな子がいるんだけど、どうしても素直になれなくて言い出せなかったのよ。まあ、本人は絶対に認めないだろうけど、わたしから言わせればバレバレなのよねー」
「へ?」
「以前にね、その子から理想の彼氏像を聞いた事があるのよね。そうしたら、年齢は別に拘っていないけど、身長は182センチ以上あれば理想だけど、175センチ以上あれば贅沢は言わない、それでいて月形みたいに強くて、どんな卑怯な勝負を吹っ掛けられても正々堂々と勝負する正義漢溢れる人で、それでいて勉強も出来て、まさに文武両道の子が理想なんですって」
おいおい、そんな奴がどこにいるんだあ?身長182センチ以上が理想という中途半端な背の高さはともかく『どんな卑怯な勝負を吹っ掛けられても正々堂々と勝負する正義漢溢れる人』など、俺が知ってる限り・・・
ちょ、ちょっと待ったあ!それって、どう考えても・・・
俺はチラッと鶴沼先輩を見たけど、鶴沼先輩はニコッとした表情を全然変えてない。おいおい、175センチ以上の身長といい・・・
「あのー、まさかとは思うけど、それって俺の事?」
「そうだよー。まあ、直接確認した訳ではないけど、いっつも君の事を遠くで見て思い詰めたような顔をしてるから、間違いないわ。それは月形も気付いているからね」
おい、ちょっと待て!石狩先輩も気付いていて鶴沼先輩も気付いている。しかも俺が運動部の連中と勝負した事を知ってるとなると、それってどう考えても・・・
「マジかよ!?という事は、うちの学校の子?」
「そうだよー。まあ、2年生か3年生の確率二分の一ね」
「俺ってホントにその女の子から文武両道だと思われてるんですか?悪いですけど俺は特進科72人の中では最下位の72番目で、全校生徒の順位に直すと3桁順位ですよ。とてもではないけど、文武両道じゃあないですよ」
「まあまあ、それでも特進科に入れたという事が凄い事なのよ。因みにその子は去年の学年末テストは本当に学年最下位で物理と現国は追試だったから、その子から見たら大成君は文武両道の、まさに理想の男性像ね」
「勘弁してくださいよお」
「それでね、わたしが『そんなに彼の事が好きなら、玉砕覚悟でコクれば?』って嗾けた事があるんだけど、本人は『いつ、誰がそんな事を言ったんだあ』って、絶対に大成君の事が好きだって事を認めないのよねー。しかも普段以上にムキになって反論するから、もう間違いないって確信したのよ」
「へえ、そうなんですかあ」
「だけどさあ、あまりにも焦れったいから、わたしも月形も何とかしてやりたいって思ったのよ。それでさあ、たまたまだけど先々週の土曜日、
「・・・・・ (・_・;)」
「それでー、先週の木曜日の夕方かなあ、
「・・・・・ (・_・;)」
「それでね、桔梗ちゃんが帰った後に月形とわたしであーだこーだ考えて、あのようなやり方で広内金さんと大成君を嗾けたの」
「そうだったんですかあ・・・あのー、桔梗ちゃんって言ってるけど、もしかして前の生徒会長の
「そうだよー」
おいおい、紅葉山さんの入れ知恵かよ!?たしかに紅葉山さんは俺と広内金先輩が罰ゲームとはいえデートしていたのを知ってるし、あの屈辱的(?)なパッキーの件も知ってる。でもさあ紅葉山さーん、広内金先輩は激怒じゃあなくて相当焦ってたんですよお。まあ、恐らく広内金先輩が絶対に自分だと認めないって分かってたから、ああいう言い方をすれば広内金先輩はわざと激怒したフリをするだろうって読んだんだろうけど、そこは読み違いですよお・・・
「・・・まあ、『
「勘弁して下さいよお。俺の呪いなんて、マジで都市伝説というか、周りが勝手に言ってるだけですよ」
「それもそうね。そんな非科学的な話は個人的には信じないわよ。まあ、アニメとか漫画、小説ではよくある話だけど、こう見えてもわたしは結構リアルでは現実主義者よ」
「まあ、俺も現実主義者ですけど、それにしてもまさか紅葉山さんがねえ。さすが新旧アニ研部長ですね、今でも連絡を取り合ってるんですか?」
「連絡を取り合ってるも何も、わたしと桔梗ちゃんは生まれた時からの付き合いだよ」
「はあ?」
「わたしのお父さんは桔梗ちゃんのお母さんの弟だから、桔梗ちゃんはわたしの従姉だよ」
「マジかよ!?だからさっきから紅葉山さんの事を『桔梗ちゃん』って呼んでたんだ・・・」
「わたしは学校でも『桔梗ちゃん』って呼んでたよー。アニ研のメンバーでも従姉妹同士だって事を知ってる人は半分くらいだけど、それ以外で従姉妹同士だっていうのを知ってたのは殆どいなかったからね。ま、それは今から話す事とは別件だからこっちに置いといて、大成君、月形が君に試合を申し込んだ時、大成君が負けたら何をするって言ってたか覚えてる?」
「俺が負けたら、ですか?」
「そう、大成君が負けたら」
「・・・たしか石狩先輩が俺に勝ったら、つまり、俺が負けたら・・・『デートしてもらう』!! (・・! 」
「そう。思い出してくれた?」
「・・・ま、まさか、デートするのは、石狩先輩と青葉じゃあなくて・・・俺と、さっきの女の子!」
「ぴんぽーん、その通りよ!」
「・・・・・ (・_・;)」
「それじゃあ、そろそろ本人をここに呼びだして紹介しまーす。月形、悪いけど電話してね」
「りょーかい」
そう言うと月形先輩はポケットからスマホを取り出すと電話を始めようとした。
でも、俺はここで「あれ?」っと思った。
「あのー、石狩先輩」
「ん?何だ?」
「どうして鶴沼先輩じゃあなくて石狩先輩が電話するんですか?もしかして石狩先輩のクラスの女の子ですか?」
俺は結構真面目な顔して質問したのだが、石狩先輩は急ににやけたような顔をして
「おいおい、おれがクラスメイトの為に
「へ?」
「おれの身内だから、羽帯の頼みをぜーんぶ素直に聞いて駒里君と『試合』したんだぜ」
「『おれの身内?』・・・まさかとは思いますけど・・・」
「ま、結局は『自分で試合をして自分でデートする権利を勝ち取った』ような物だけどな」
「・・・・・ (・_・;)」
「あー、断っておくけど、あいつは今日この場に駒里君が来ているなどと夢にも思ってないからな。当然だけど、このおれがあいつの為に駒里君と『試合』をしたなど微塵にも思ってないぞ」
「・・・・・ (・_・;)」
「まあ、君は負けを認めた以上、少なくともデートを拒否できないのは明白だ。それに君が会長とは幼馴染で彼氏彼女の関係ではないと周囲に公言しているから、君に可愛い女の子を紹介したところで、会長がおれや
「・・・・・ (・_・;)」
それだけ言うと石狩先輩はスマホを耳に当てた。
「・・・あー、おれだ。今どこにいる?・・・それなら今すぐにWcDまで来れるか?・・・違う違う、羽帯がいるから・・・じゃあ、待ってるぞ」
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