第118話 大成、全然緊張感のない話しっぷりに呆れる
「・・・あのー、ちょっといいですかあ?」
俺は右手を軽く上げながら
「ん?何かあったの?」
「まさかとは思いますけど、俺にノロケ話をしたくて呼び出したんじゃあないですよねえ」
俺は結構真剣に聞いたつもりだったけど、石狩先輩も鶴沼先輩も結構軽い口調で
「違うよー」
「ちゃあんと理由があって
おいおい、結局はノロケ話をしているのと変わらんぞ。そう言いながら二人ともニコニコ顔なんだからさあ。
「うーん、どこから話せばいいのかなあ・・・」
「あのー、
「俺はどっちが説明してもいいです」
「それじゃあ、話すよー」
そう言って鶴沼先輩は話し始めたけど、全然緊張感がないというか何というか、とにかくニコニコしたままだ。
「まずー、大成君に再確認だんだけど、
「まあ、それは事実ですよ。あの試合の次の朝、
「ふーん、じゃあ、大成君の負けという事でいいわね」
「はい、いいですよ」
「あのね、大成君。気分を害するようで申し訳ないけど、あの時、
「そだったんですかあ。因みに石狩先輩、あの試合の感想を率直に聞かせてもらえませんか?」
そう言ってから俺は石狩先輩の顔を見たけど、石狩先輩は終始にこやかな表情を崩さずに
「うーん、試合結果は会長の横槍が無ければ、たしかに君は『
「ですよねー」
「だが、知っての通り会長の主張が通ったから試合は君の負けだ」
「ま、あれは仕方ないですね。本人も相当反省してますよ」
「おれのところにも『太美のお陰で我が部の呪いが解けた』って言ってくる奴が両手では済まないくらいだから、ある意味、会長は多くの運動部のために頑張ってくれたという事だ」
「そうとも言えますね」
「そのお陰で、ますます会長の人気は不動の物になったと断言してもいいな」
「わたしもそう思うわよー」
「ですよねー、はーーーーーーー・・・・」
おいおい、青葉の奴、あんな暴走をした事で泣きっ面をしてたのに、結果論だけを言えば自分の人気取りのために「判定を捻じ曲げた」と言われてもおかしくないぞ。
まあ、どのような経緯であれ、俺が試合に負けたのは事実だ。そこは素直に認めよう。それに、青葉もあの後、何となくなだが一皮剥けたように思えるのは俺だけだろうか・・・
「ところで大成くーん、ちょーっといいかなあ」
「あー、はい。鶴沼先輩、俺に何か用ですか?」
「あのね、先週の金曜日、月形が相当挑発的に大成君に『試合』を申し込んだと思うんだけど、あれは全部わたしの作ったシナリオなのよねー」
「はあ?」
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