第112話 大成、青葉の顔に〇ラジャーをかぶせて無理矢理起こす

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 青葉あおばが夢の中であの時に青葉自身が俺に言った言葉・・・少なくとも、あの時以外に言った事がない言葉を言っている・・・という事は、ほぼ間違いなく、青葉が会長を引き受ける前に言った『大成たいせいは私が完璧超人の生徒会長である事を守り続けるために頑張る、私は大成の無敗伝説を守り続けるために頑張る。だからお互いに相手の虚像を守るために頑張ろうよ』の言葉が守れなかった事、青葉自身の軽率な(?)行動で判定負けに追い込んだ事を責めているに違いない。

 たしかに俺は負けたけど、母さんの言葉ではないが、負けたら負けたで新たな目標を作って頑張ればいい。それに、あれはイレギュラーが重なって起きた不幸な事故だと思えばいい。青葉は悪くない。

 でも・・・さすがにそろそろ起こさないとマズイ時間だ。だいたい青葉は今日は日直だというのを分かってるのかあ?

 仕方ない、青葉には色々な意味でとしよう。

「おーい、青葉、朝だぞー」

「・・・・・(-_-)zzz」

「おーい、あーおーばーさーん、あーさーでーすーよー」

「・・・・・(-_-)zzz」

「青葉!起きろー!!」

「・・・・・(-_-)zzz」

 はーーー・・・相変わらずではあるが起きない奴だ。しかも今日もまた「魔界の呪いのアイテム」をセットしてないし・・・一体、こいつはどういう神経をしてるんだあ!?

 今朝はどうやって起こしてやろうか・・・よし、今日はこのやり方だあ!

 俺は机の上に出しっ放しになっていたブラ・・・い、いや、固有名詞を言うのはやめておこう!だいたい、出しっ放しにしておく方が悪い!それを青葉の顔に被せて・・・

「・・・ぷわーーーーー!!!!」

「おー、起きたかあ」

「あったりまでしょ!どういう理由なのか分からないけど息苦しくなってきたから飛び起きたんだからさあ!」

「べっつにー。起きてこない方が悪い」

「だいたい、何がどうなって息苦しくなったのか・・・」

 そう言って青葉は自分の右手で顔の上から剥ぎ取った物を見たが・・・それを見た瞬間、顔が一気に真っ赤になった!

「ど、どうしてこんな物が顔に被せてあったのよー!」

「あー、それは俺が被せた」

「何で大成がそんな事をしたのよー!変態!!」

「そんな事を言ったって、この部屋の有様じゃあなあ」

「へ?・・・」

 青葉は慌てて周囲を見回したけど、もう時既に遅しだ。顔はますます真っ赤になっていくし、俺はどちらかと言えばニヤニヤだ。

「だ、誰がこんな事をしたの・・・?」

「そーんなのは決まってるだろ?誰かさん以外にあり得ないんだからさあ」

「・・・そ、そんな事は無いわよ!」

「まさかとは思うけど、魔界の扉が開いて大魔王の使い魔がやってきて、部屋の中を散らかして帰って行ったとか言い出さないよなあ」

「あーーー!わーかったわよ!!片付けるからちょっと部屋を出て行きなさい!!!」

「はあ?今すぐにかあ!?」

「レディの部屋に入るなあ!」

 そう言ったかと思ったらを俺の顔目掛けて投げつけてきてから俺の顔にクリーンヒットした。結構痛いぞ!しかもマジ顔で怒ってる!

「とにかく出て行けー!」

 俺は青葉から追い出される形になって部屋を飛び出していった。

 はー・・・ちょっとやり過ぎたかなあ。久しぶりにあいつがマジ顔で怒ってるのを見たぞ。俺はため息をつきながら扉に背中を預ける形で天井を見つめた。それにしても・・・何であいつは部屋を散らかしたままにしてあったんだあ?

 そう思って俺は右手で持っていた物を改めてマジマジと見たが・・・はあ!?こ、これはさっき青葉が投げつけたブラジャーだよなあ (・・!

 お、落ち着け!あいつのサイズが分かる・・・い、いや、こんなのに興味を持ってはならぬぞ!だいたい、あいつは俺の幼馴染で、もしかしたら妹かもしれない、いや、今の状況ならほぼ間違いなく妹だけど、そんな奴のサイズを知ったところで何の意味があるんだあ!だいたい、広内金先輩よりはあるけど南先生より少しマシな程度の胸にどんな意味があるんだ!?でも・・・こ、これは・・・

「うわっ!?」

 いきなり扉が開いたから俺は背中から倒れ込むような形になって青葉の部屋へ倒れ込んだけど、そこにはパジャマを着たままの青葉が立っていた。しかも物凄い形相のままだあ!

「たいせー!やっぱりあんたが持って行ったのね!この変態、ドスケベ!!」

「ちょ、ちょっと待てよ!お前が勝手に投げつけたんだろ?俺のせいじゃあないぞ!」

「問答無用!」

「だいたい、Cカップとは思えなような奴に・・・」

「たいせー!どうして私がCだって知ってるのよ!!(#^ω^)」

「あっ・・・  (・・;) 」

「と、とにかく返しなさーい!!! (#^ω^)」

 青葉は俺の右手からさっき投げつけたブラジャーを取り返すと俺を蹴飛ばすようにして部屋から追い出して、再び『バターン!』と勢いよく扉を閉めた。俺はため息をつく事しか出来なかった。

 それにしても・・・あいつ、俺の見立てよりも1サイズ大きかった。着痩せするタイプかもしれないけど、あの線の細さならあのアンダーなのは仕方ないのかなあ。だから見た目は小さく感じるのかも。

 そのまま青葉はしばらく部屋から出てこなかったが、ドタンバタンという音だけは聞こえていたから部屋の中の物を一生懸命に片付けていたのというのは容易に想像できた。

 やがて部屋が静かになったかと思ったら青葉が出て来た。しかも青葉は既に制服を着ている。

「たいせー、もう時間が無いから急いで!」

「はあ?そんなのは青葉のせいだろ?今頃になって部屋を片付ける奴が悪い」

「そんな事を言ってる暇はなーい!さっさとご飯を食べたら行くわよ」

「はいはい」

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