第100話 大成、青葉の部屋に入って仰天する!

 俺は普段より早い時間に家を出た。もちろん、学校へ行くのではなく青葉あおばを起こす為だ。普段より早い時間に呼び鈴を鳴らすのだから「大丈夫かな?」と思わないでもないが、そこは去年もそうだったから問題ない。

 案の定、いつも通り藻琴もことおばさんが俺を出迎えた。

「あらー、結構早いわねー」

「あー、おはようございますー。青葉は?」

「まあ、いつもの通りよー。さ、ささ、入った入った」

「お邪魔しまーす」

「なーに遠慮してるのよ、お・に・い・さ・ん」

「おばさーん、俺はあいつの兄貴じゃあないですよ」

「うーん、それじゃあ、カ・レ・シ・サ・ン」

「おばさん!」

「まあ、それも冗談よ。どうせ今日は日直なんでしょ?」

「そういう事です」

「じゃあ任せたわよー」

 それだけ言うとおばさんは俺に背を向けてリビングの方へ行ったけど、のは言うまでもない。

 青葉は俺の妹なのか・・・その答えを探し求めているけど、証拠となる物証は出てこない。あくまで状況証拠だけだ。それこそDNA鑑定でもしないと分からないのか?まあ、若菜わかな先生の伝手つてを使えば鑑定する事は簡単だけど、そんな事をしたら一発で母さんにバレてしまう。結局のところ俺には調べる術はなく、現状ではかなり黒に近いグレーとしか答えられないのだから余計に辛くなる。最近、俺の眠りが浅いのはこのためなのだろうか・・・。


 俺はいつも通り青葉の部屋をノックしたけど、相変わらずだが返事がない。

 だから青葉の部屋の扉を開けて中へ入ったのだが・・・その部屋を見て俺は仰天した!

 マジかよ!こんなに散らかった青葉の部屋を見るなんて初めてだ!!い、いや、たしか幼稚園児の頃の青葉なら珍しくなかったけど、少なくとも小学生になってからの青葉は部屋を整理整頓していたはずだ。服が何も片付けられてなくて床に散らばってるから、どれが洗濯済みでどれが着終わった物なのかも全然分からない!それに机の上も教科書が出しっぱなしで全然片付けられてない。

 それに・・・頼むから机の上のブラ・・・い、いや、男子たるもの、固有名詞を言うのはやめておこう・・・ピンクか・・・うわーーーー!!!だ、男子たるもの、こんな物に興味を持ってはならぬぞ!

 で、でもでもある!ど、どうする?見るべきか、それとも黙って青葉を起こすべき?

 俺は相当葛藤したけど、その時に青葉が寝返りを打ちながら


「・・・たいせー、私、自信ないよお・・・」


 俺はドキッとしたけど、青葉が起きたのではなく寝言を言っていただけと気付いてちょっとだけ安心した。でも、青葉が寝言を言いながら泣いている事に気付いた。


 これを見た俺は「ハッ」となった。


 それに、この言葉は・・・青葉はを見ているんだ・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る