第95話 大成、再び青葉の横槍(?)で『1本』を取り消されただけでなく・・・
そう
試合は再開されたが、
俺は上手く石狩さんの攻めをいなし続けているが、いつまでも抑えられる訳でもない。だが、石狩さんが強引に攻め続けているから明らかに隙だらけだ!
俺は石狩さんが出て来た瞬間をとらえ、一気に懐に飛び込んだ。そのまま右手を左の襟に、左手で右袖を掴み、石狩さんの重心がつま先に移り、前にバランスを崩した状態になったところに体を合わせ一気に勝負に行った!そう、『
石狩さんは俺が『
「一本!」
南先生の大きな声がした事で俺は今度こそ勝利を確信した。同時に周囲の連中は一斉に悲鳴を上げた。(当たり前だけど、歓声を上げた連中は皆無に等しかった)
だが・・・
「ちょ、ちょっと待ったあ!今のが何で『一本』なのよお!!当然取り消しよ!!!」
またも声を上げたのは
「このスケベ!」
とか言っていきなり右手を張り上げた。
『バチーン!』
青葉が全力の平手打ちを俺に喰らわせてきたから、周りが一斉に沈黙してしまったし、石狩さんも目を見開いてる。それに南先生も唖然とした表情をしているぞ。俺だってどうして青葉に平手打ちされたのか分からない!
そのまま青葉は俺の両襟を勢いよく掴むと
「
それだけ言って青葉は俺を突き放すようにして放り出すと、そのまま南先生のところへ行って猛然と抗議を始めた。俺はポカーンとしたまま青葉を見ている事しか出来なかったし、それは石狩さんも同じで呆気にとられたような顔をしている。それに、
あのなあ、青葉・・・いくら俺でも襟の掴み合いの時に意識して石狩さんの胸に触れた訳じゃあないぞ。それにお前は俺の見立てで推定Bカップだけど、石狩さんは俺の見立てで推定Eカップ、もしかしたらFカップかもしれないから左襟を掴みに行こうとすれば否応なしに胸に触れちゃうんだぞ!お前はそれを分かって言ってるのかあ?
それにさあ、俺とお前が試合をする時は・・・ま、これを今の青葉に言うと火に油を注ぐ事になりそうだけど、『大内刈り』のような相手を押し倒すような技だけでなく『
今度も南先生は困ったような顔をして鬼峠先生の意見を聞こうとしたけど、今度も鬼峠先生は「審判団で判断してくれ」と言って意見を述べず、やむをえず南先生は
試合は再開されたけど、俺は攻め手を失ったに等しかった。襟を掴まないで相手を投げる技があるのかあ?いや、あるにはあるけど、周りが完全に石狩さん
そのまま「待て」が4回続いたけど、5回目の「待て」の声が掛かった時に南先生は
「道着を整えて並びなさい」
南先生は冷たい目をして俺と石狩さんに言った。この瞬間、俺は南先生が何をしたいのかが分かった。つまり『これで試合が終わった』という事だ。
青葉はこの声を聞くと「えー、ちょっと待ってくださいよお」と言って声を掛けたけど、今度は南先生も青葉の抗議を受け入れず、また、浜中先輩も青葉を制止するように間に入ってきたので青葉も言うのやめた。ただ青葉の顔は明らかに真っ青になっている。南先生がこれからやる事の意味が分かっているからだ。
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