第94話 大成、青葉に横槍(?)を入れられる
俺も
『ゴツン!』
「
おい、何だあ!いきなり頭を殴られたけど・・・
「ちょ、ちょっと
「と、とにかく大成の『
「ちょ、ちょっと待って下さい!わたしには串内さんが何故無効だと言ってるのかが全然分かりませんよー。それに浜中さんはどう思ってるんですかあ?先生は『1本』は無理だとしても『技あり』のポイントを奪うに十分だと思ってますよー」
「わたしも南先生と同じですよ。『1本』は無理だとしても
南先生と浜中先輩の判断は俺と同じだ。それに石狩さんも同じ考えだったから必死になって『
青葉は顔を真っ赤にしたまま
「だいたい、大成は『
「「はあ?」」
「ぜーったいに、誰が何と言おうと、これはセクハラです!」
そう言ったかと思うと俺のところへいきなりやってきて
「いつまで二人で抱き合ってるのよ!!」
とか言って俺の頭にもう1回『ゴツン!』とゲンコツを叩き込んだから、俺も正直『ムカッ』と来たけど、仕方ないから右手で抱え込んでいた石狩さんの首を離して俺自身も起き上がった。石狩さんも釈然としない顔をしながらも起き上がった。
南先生は青葉の顔を見ながら、それも釈然としない顔をしながら
「串内さん、セクハラの意味がよく分からないんだけど・・・」
「だーかーら、大成は思いっきり胸を掴んでました!私は真正面から見てたから間違いありません!大成の『
「えー!串内さーん、『
「と、とにかく、こんなのどう見たって『抑え込み』じゃあないわ!おかしい!!『技あり』も当然取り消し!!!大成には『指導』を与えるべきです!!!!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!串内さん、越権行為じゃあないですかあ?」
「待ってくださいもへったくれもありません!それにこの試合は女子柔道部と生徒会の責任において行われている特別ルールですから、生徒会と柔道部は同格と考えます!だから
それだけ言うと青葉は後方の椅子席で見ていた
ちょっと間が空いて広内金先輩は顔を真っ赤にしながら立ち上がって
「・・・ま、まあ、ボクもほぼ正面から駒里クンが太美クンを投げる瞬間を見ていたから分かるけど、たしかに胸を掴んでた。これが即セクハラかという判断だが、あくまでボク個人の意見だが、勝負の最中に無意識のうちに相手を抱え込んだと見るべきだと思うから、いきなり『セクハラをした』という理由で反則負けにするのは酷だと思うよ。ただ、審判団がどう判断するかだけど、投げ技は問題ないとしても、その後の『抑え込み』はちょっとねえ・・・まあ、ボクはあくまで柔道は専門外なので
それだけ言うと広内金先輩は座ったけど、周りの連中からは「そうだそうだ」「あれはセクハラだー!」「当然駒里は失格だあ!」などと盛んにヤジが飛んだ。
南先生は困ったような顔をして鬼峠先生のところへ行って意見を聞こうとしたけど、鬼峠先生が「そこは審判の三人が協議して決めることだ」と言って取り合わず、仕方ないといった表情で南先生は青葉、浜中先輩の三人であーだこーだ言って話し合いを始めた。その間、俺と石狩さんは自分の道着を整えた後は最初の立ち位置に立って三人の審判を見ている事しか出来なかった。
青葉は最後まで顔を真っ赤にしたまま猛烈に抗議してたけど、最後には渋々といった表情で引き下がったようだ。やがて三人の輪が解けて南先生が俺と石狩さんの間に立ち、青葉と浜中さんは最初の位置に戻った。
「えーと、協議の結果、駒里君の『技あり』は認めます。ただし、駒里君には抑え込みの際に『柔道の精神に反する行為』、ぶっちゃけて言えばセクハラ行為があったと認定して『指導』を与えます」
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