第85話 大成、朝から愚痴を言う

「おーい、青葉あおば、朝だぞー」

「・・・・・(-_-)zzz」

「おーい、あーおーばーさーん、あーさーでーすーよー」

「・・・・・(-_-)zzz」

「青葉!起きろー!!」

「・・・・・(-_-)zzz」

 はーーー・・・相変わらずではあるが起きてこない奴だ。しかも昨夜「ご褒美の前払いじゃあないけど明日は私が起こしてあげるからねー」とか自分から俺のスマホに電話してきて宣言しておきながら、今日も目覚まし時計をセットしてないじゃあないか!

 はーーー・・・ま、最初から期待してなかったけどね。どうせ99.99パーセントくらいの確率でこうなるって予想していたけど、0.01パーセントくらいの期待を持っていたのも事実だ。最初から期待してなかった時の方が期待した結果になった時の喜びが大きいのは間違いないけど、朝のこいつは期待するだけ無駄だというのを改めて思ったぞ、ったくー。

 仕方ない、いつもの事だけど起こしてやるかあ!

 今日はどんな起こし方をしようか・・・くすぐって起こす方法でもいいけど、今日は最強の方法で起こしてやる!

 俺はキッチンから持ってきたを右手に持ち、それを相変わらず(?)であるが丸出しになっている背中に当てた。

「ひゃあああああああ!!!」

 いきなり青葉は間抜けな声を上げたかと思うと飛び起きた。俺は笑い出しそうになったけど顔に出すような事はせず

「おー、起きたかあ」

「勘弁してよお。一体、何をしたのよお、ぷんぷーん!」

「あー、それはだなあ」

 俺は右手に持ったを青葉に見せた。

「はあ!?それって凍らせた保冷剤じゃあないの!」

「そうだぞー。ひやってするだろ?」

「当たり前よ!あんな事をされて起きない人がいたら私が見てみたいわよ!!」

「冷っとしたから『ひゃあああああああ!!!』とか言ったのかあ?」

「たいせー、揶揄わないでよお」

「揶揄ってるのはお前だあ!」

「はあ?どういう意味?」

「何で俺がお前を起こさないといけないのかを考えてみろー!」

「あっ!」

「青葉の方が俺を起こしに来るんじゃあなかったのかよ!」

「・・・・・  (・_・;)  」

「しかも『魔界で作られた呪いのアイテム』をセットしてなかったよな!」

「・・・・・  (・_・;)  」

「眠りを誘う追加効果が発動してないんだから普通に起きられる筈だよな!」

「・・・・・  (・_・;)  」

「ま、俺がいつもの時間よりも早く目が覚めたにも関わらずお前の部屋のカーテンが開く気配がないから、俺が仕方なくお前の部屋に来たんだからな!」

「・・・・・  (・_・;)  」

「何か言いたい事があったら50文字以内にまとめて言いなさい、以上!!」

「たいせー、もうそれ以上は勘弁してよお。私だって反省してるんだからさあ」

 そう言うと青葉はションボリして俯いてしまった。

 さすがに俺もちょっと言い過ぎたと思って「コホン」と軽く咳払いしてから

「はー・・・じゃあ、ご飯にするのか?それとも先に着替える?」

「折角だから先にご飯にしようよ。今日は大成たいせいの為に朝から銀シャリよ!」

「お前さあ、今日はパン食だぞ」

「嘘でしょ!?お母さんは昨日の夜に『りょーかいであります』って言ってたわよ!」

「俺はキッチンにある冷蔵庫から保冷剤を持ってきたんだぞ。さっきまで寝てた青葉がキッチンに行って様子を見てきたんじゃあないだろ?」

「そ、それはそうだけど・・・」

「それに俺は炊飯器を見たけど、炊飯器が炊きあがるのは今日の正午だ。しかもいつも通りホームベーカリーでパンが焼き上がってるという状況をはどう解説するつもりですかあ?」

「はーーー・・・」

「青葉さあ、藻琴もことおばさんも母さんも、それにお前も俺をパン食に変えたくて仕方ないのか?」

「そ、そんな事はないわよ。それに、大成には今日の試合には何があってもぜーったいに勝ってくれないと色々な意味で困るからさあ」

「でもさあ、現実には串内くしない家の行動は、俺のテンションを朝から下げる方向になってるぞ」

「たいせー、お願いだから機嫌直してよお」

「はいはい、別に怒ってないですよ。ただ愚痴をちょっと言いたかっただけですから」

「じゃ、じゃあ気を取り直してパンを食べましょう!」

「はーい」

「あー、何か投げやりー」

「投げやりになりたくもなるわい!!」

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