第78話 大成、仲の良い(?)三組の「きょうだい」を見て思う事がある
「「行ってきまーす」」
今朝は二人だけの登校だ。
俺の横にいるのは
それに、今日は珍しく青葉がニコニコしながら歩いてる。あれー?何かいい事でもあったのかなあ・・・それとも今日は楓と緑がいないから定位置に戻れた事に安心しているのかも・・・い、いや、それはあくまで俺の希望的観測だ。青葉が本当に俺の妹だったら・・・
「・・・たいせー、そう言えばさあ」
「ん?」
「今日は
「さあな、昨日は休んだんだろ?楓が言ってたけど、あの後あまりにも腫れが酷いから学校の車で札幌
「利き腕の左手の方が軽傷で済んだのは、
「ちょっと本気を出しすぎたかなあ」
「
「どっちにせよ、剣道部はエースが二人とも療養中で昨日は自主練習だったらしいし、
「たいせー、次に会った時にはマジで美留和先輩に謝った方がいいと思うよ」
「そうだな。『やり過ぎました。ごめんなさない』って言うようにするよ」
「そうしなさい。ま、美留和先輩もこれで大人しくなってくれるといいけどね」
「それもそうだね」
「それにしてもさあ、大成は一躍スターだよね、あー、スターというよりは『災いをもたらす者』をまた実証したわね」
「勘弁してくれよお。俺はこれ以上『壊し屋』になりたくないぞ」
「またまたあ」
「マジで勘弁してくれ!」
「まあ、対戦中に本人が怪我をしたのは今回が初めてだけど、それまでは、まさに『呪い』だからね」
「その呪いをもたらした張本人が何を言ってやがる!」
「あれ?どういう事なの?」
「お前が全ての元凶だあ!」
「へ?・・・まあ、そう捉えられても仕方ないのかなあ」
「あったりまえだあ!」
「まあまあ、そのお陰で私は平穏な高校生活を満喫してるわよ」
「はいはい、そりゃーどーも」
「あー、何か投げやりー」
「青葉ちゃーん、おはよう」
「会長、おはようございます」
「
今日も青葉は登校中のみんなから声を掛けられてるけど、楓と緑がいないから「楓ちゃんと緑ちゃんはどうしたの?」とか「今日は妹さんは?」と盛んに言われて俺も青葉も正直困惑していた。まあ、既に楓と緑が一緒にいる事が当たり前になってしまったので、逆にいないと不自然に思われるのかもしれない。俺も青葉も「今日は二人で日直だよ」とオウム返しのように言い続けてるから正直辟易しているのも事実だ。
今日もJR組と重なったようで、
俺と青葉は信号が変わるのを待っている状態なのだが、道路の向こう側を歩く集団の中に頭一つ、いや頭二つくらい抜けた長身の男子生徒がいる事に気付いた。その隣には、周りの男子とほぼ変わらない、いや、大半の男子より背が高い女子がいる。何か喋りながら歩いてるみたいだけど、さすがに何を話しているのかは俺のところにまで聞こえてこないので分からない。
男子生徒は3年7組の
「たいせー、相変わらずあの二人は仲がいいよね」
「ま、そたしかにそうだな。見方によってはイケメンと美少女のお似合いのカップルだけど・・・」
「実の兄妹だと知ったら十中八九、腰を抜かすけどね」
「まさに最強の兄妹だよな」
「さすがの大成もあの兄妹には敵わないよねー」
「あのなあ、俺は石狩先輩とは何度も勝負した事あるけど、石狩さんとは勝負した事ないぞ」
「でもー、この私を物差しにして考えたら兄妹に敵わないって事になるよねー」
「たしかに・・・」
「でしょ?」
「・・・それは認めざるを得ないなあ」
ここで信号が変わったので俺も青葉も歩き始めたが、その時には既に石狩兄妹はかなり前に行ってしまった。
でも、そんな俺たちが信号を渡り終えた時に、駅の方からお馴染みになりつつある光景が目に入ってきた。
遠目からもハッキリ分かる、ロリ顔の巨乳の女子生徒と男の割には背が低くてツンツン頭の男子生徒が速度を早くしたり遅くしたりして歩いて、いや、走っていると言うよりは何と言うか、とにかく競争しながらこちらへ向かってくるのが見えて来た。女子生徒は赤いリボンだから2年生、男子生徒は緑ネクタイだから1年生だというのが分かる。そう、先ほどの長身の石狩兄妹とは対照的な背の低い
青葉から言わせれば『キラキラ姉弟』なのだが、こちらもいつも通りなら弟の美流渡君の方が美利河さんが隣にならないように頑張っている。だが、美利河さんがムキになって並ぼうと必死になっている筈だ。これも先ほどの石狩兄妹とは別の意味での仲の良い(?)姉弟である。
だが・・・ここに「もう1組の仲の良い(?)兄妹」、いや、正しくは「仲の良い(?)1組の異母きょうだい」がいるとしたら・・・いや、まだ決まった訳ではない。その希望が残っている限り、俺は諦めない・・・つもりだけど・・・
「おーい、キラキラ姉弟、おはよう」
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