災いをもたらす者

第77話 大成、和食の朝食に歓喜したけど青葉の母親の一言に衝撃を覚える

「おーい、青葉あおば、朝だぞー」

「・・・・・(-_-)zzz」

「おーい、あーおーばーさーん、あーさーでーすーよー」

「・・・・・(-_-)zzz」

「青葉!起きろー!!」

「・・・・・(-_-)zzz」

 はーーー・・・相変わらずではあるが起きてこない奴だ。しかも今日はをセットしてない!まあ、こいつの場合、呪いのアイテムがあろうと無かろうと起きてこないのには変わりないからなあ。

 さて、今日は何してやろうか・・・たまには無理矢理起こすのも悪くないかも。


 ”グイッ”


 俺は左手の親指と人差し指で青葉の瞼を無理矢理こじ開けた。

 あーあ、寝てるから殆ど白眼しか見えないなあ。でも、これなら光が入ってくるから・・・マジかよ、これでも起きない!?・・・えーい、こうなったら本当に秘密兵器登場だあ!

 俺は青葉の机の脇にあるLEDペンライトを持ち出すと、青葉の右の瞼を無理矢理こじ開けたところへLEDの灯りを当てた。

「うわーーーー!」

「おー、ようやく起きたかあ」

「たいせいー、眩しいから勘弁してよお」

「じゃあ起きろ!」

 そう言うと俺は青葉の瞼から指を離してLEDペンライトの灯りも消した。青葉のブツブツ何か言いながらだけど、ようやく上半身だけをベッドから起こしてベッド脇に丸めてあったセーターを上に羽織った。

「酷いよー、久しぶりにこのやり方で起こされたけど結構怖いよ」

「そんな事は俺は知らん」

「ちゃんと目覚まし時計が鳴れば起きるからさあ」

「嘘をつけ!今朝のお前は目覚まし時計をセットしてなかった」

「そんな事ないよお。ぜーったいにセットしてから寝たんだからさあ」

「俺は嘘は言ってないぞ!なんならおばさんに聞いても構わない!!」

「えー、そんなあ」

「青葉、まさかとは思うけど『悪魔が来て目覚まし時計のスイッチを勝手に切った』とか言わないだろうな」

「そ、そうだよ。きっと大魔王の使い魔が来て私の部屋の目覚まし時計のスイッチを勝手に切ったんだよ。この時計は魔界に通じる扉になってるに違いないよ」

「そんな馬鹿が事があってたまるかあ!コップヌードルの関係者に謝れー!!」

「はーい、コップヌードルの関係者の皆様、ゴメンナサイ」

「さっさと起きろ!今日はおばさんがお米のご飯を用意して待ってる」

「マジい!」

「ホントだ。俺は正直、母さんの言葉を信用してなかったけど、この家に入ったらパンの匂いではなくてご飯の匂いがしていたからビックリした」

「じゃあ、早く食べようよ!」

「ハイハイ、分かったよ」

「あー、そうだ、着替えるのは後でいいよね」

「青葉の好きにしていいぞ」

「じゃあ、久しぶりに朝から和食、レッツゴー!」

 そう、今朝は母さんが「今日は青葉ちゃんとモーニングしてきてねー」と言ったから朝ご飯をまだ食べてない。当たり前だが俺は母さんが言ったからには絶対にパン食だと思ってたから、青葉の家へ来るのが憂鬱だった。青葉が妹なのか幼馴染なのかは別問題として・・・。

 パジャマの上にセーターを羽織った青葉と一緒にキッチンに行ったら炊飯器が炊き上がった直後で、テーブルの上に塩シャケや卵焼き、味噌汁、金平きんぴら牛蒡ごぼうなどが並んでいたのを見たから正直ぶったまげた。

「あらー、遅かったわよ」

 そう言うと藻琴もことおばさんはニコニコしながらお茶碗にご飯を入れるとテーブルの上に置いた。

「お母さーん、まさか本当に和食にするとは思ってなかったわよー」

「おばさん、ありがとうございます」

「遠慮しなくていいわよー。大成たいせい君の一昨日の噂はうちの常連さんだけでなくお隣のBOUQUETブーケのお客さんにも伝わってるわよ。ま、折角青葉が『明日は和食にしようよ』って言ってきたから今日だけはへのおばさんからのご褒美という事で受け取ってね」

「お母さーん、たいせーはお兄様じゃあないよー」

「じゃあ青葉の素敵な彼氏さんなのかなあ?」

「お母さん!」

「まあ、そこはあんたの好きにしなさい。それにしても大成君、剣道部のエース格2人を同時に相手して圧倒したってホントなの?」

「うーん、まあ2人と同時に勝負したのは事実だけど、圧倒って言うのは語弊がありますよ。結構ギリギリの勝負でしたし、あと1分長引いたら俺の肉体が音を上げたと思いますから」

「またまたあ。が聞いたら『修行が足りん!』とか言い出すかもね」

「そうかもしれませんね」

 俺はそう言って頷きながらご飯を口に出したけど、正直、今の藻琴おばさんの言葉に対して衝撃を覚えた。俺はマジで頭がクラクラしてきた。

 おいおい、状況証拠に加えて、藻琴おばさんが口を滑らした一言は爆弾発言以外の何物でもないぞ!今までに『あの人』などという言葉を使った事がなかったのだから・・・。

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