第56話 大成、VRゲームをやる
でも、そのうち
「せんぱーい、まさかとは思いますけど、ホラーとか人食いのVRをやるなんて言わないですよねえ」
「はあ?いくらボクでもそれは遠慮するぞ!」
「ですよねー、助かりましたよ」
「あれ?ひょっとして
「その逆ですよ。去年、実際にうちのクラスの
「そんなに怖いのかあ!?」
「本人が言うには、ですよ」
「ボクがやりたいのはマリコカートのVRだよ。ゲームの世界をリアルで体験してみたいのさ」
「あー、それなら俺もやりたいですよ」
「大成はやった事がないのか?」
「いやあ、実はVRゲームがここのゲーセンに入る前には来た事があったけど、入ってからは来た事がなかったんですよー」
「じゃあ丁度いいや。この際だからどっちが早くゴールできるか競争だあ」
「望むところです」
「もしボクが勝ったら本気でキスしてもらうぞ」
「えーーー!!」
「嘘だよ。さすがにボクもそこまでやらせる程の悪趣味はないよ」
「勘弁してくださいよお、心臓が止まるかと思いました」
「もしボクが勝ったら、我がグループが来月札幌市内に新規オープンするカジュアルショップで買い物してもらうという事でどうだ?負けたらボクが
「いいでしょう。マリコカートだけは
「本当にいいのか?」
「・・・あのー」
「何だ?」
「カジュアルショップっていうのは・・・まさかとは思いますが〇ルメスとか〇ルマーニのブランド品を扱うカジュアルショップ・・・」
「その通りだ」
「勘弁してくださいよお。俺の小遣いで買えるとは思えないですよ」
「だろ?だから言ったのにー」
「せんぱーい、もう少し庶民的な勝負にして下さいよお」
「仕方ないなあ。じゃあ今度生徒会メンバーでカラオケに行った時、負けた方が勝った方のカラオケ代を持つという事でどうだ?この値段ならWcDのチーズダブルバーガーのバリューセットの値段と変わらないくらいだろ?」
「まあ、それくらいならいいでしょう」
「じゃあ、約束したぞ」
「了解であります!」
とまあ、華苗穂先輩とマリコカートのVRゲームで勝負する事になったのだが、結果はというと・・・当たり前だが俺の完勝に終わった。華苗穂先輩は襲ってくるフラワーやキノコにボコボコにされてキャーキャー騒いでたけど、俺は強引に突き抜けたり交わしたり払いのけたりして常に華苗穂先輩の先にいたから最後は余裕の完勝だ。
「へへーんだ。俺の勝ちですよね」
「くっそー。まさかVRゲームでも強いとは思わなかったぞ。さすが『
「せんぱーい、その異名は勘弁してくださいよお。俺だって好きで呼ばれてるんじゃあないんですから」
「まあ、それもそうだな」
「ところで、他のVRゲームをやりますか?」
「うーん、ちょっと待ってくれよ」
そう言うと華苗穂先輩は左手にはめた腕時計、恐らくこれも海外のブランド品だろうけど、それを見たら顔が曇った。
「・・・大成、これからカフェにして、それで罰ゲームは終わりにしよう」
「へ?・・・どういう事ですか?」
「時間がない。それだけだ」
「?????」
「今日の早朝、急きょ予定が入ってボクは
「分かりました。いいですよ」
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