第19話 大成、青葉を信じる事にする
元々、青葉は表向きは超がつく程の優等生であり、同時に学力では学年のトップを独走しているし、スポーツに至っても、さすがにその道のスペシャリストには敵わないが総合力では学年の女子でトップという、まさに文武両道であり、しかもその愛くるしい笑顔で『校内で並ぶものなき美少女』として知られていて、一部の青葉シンパの生徒は『親衛隊』と呼ばれているくらいだ。
ただ、今の3年生から見たら後輩の生徒会長である。青葉が生徒会長としての力量を持ち合わせてないという事が分かってしまったら、手の平を返すように離反してしまう可能性がある。実際、過去に1年生で生徒会長になった人は、全員が後半に失速している。それは、2年生になってから生徒会長としての力量に疑問符をつけられて3年生が支持しなくなったからだ。
それに・・・この話は以前に青葉がボヤキながら言ってたけど本当なら
この生徒会では、普段は広内金先輩が青葉の意見を支持していて恵比島先輩の意見はほとんど却下されるのがオチだ。それに、殆ど男勝りの性格の広内金先輩は普段から恵比島先輩を顎でこき使っているし、青葉は青葉で「恵比島先輩、ヨロシク頼みます」の一言で顎でこき使っている形になっているし、それは
青葉の表向き高い支持率は、青葉の考えを支持する広内金先輩と、青葉のわがまま(?)無理難題(?)を文句を言いつつも引き受ける恵比島先輩、その恵比島先輩と広内金先輩を陰で支える虎杖浜先輩によるところが大きい。この3本の柱が1つでも欠ければ、青葉の生徒会長としての足元はぐらつき、同時に青葉の生徒会長としての支持率が下がり始めるのは確実だ。いわば青葉は3年生3人の『トロイカ』に乗っているガラス細工の生徒会長のようなものだ。それは本人が一番自覚している。
広内金先輩はクセ者が多い3年生を恐怖(?)で抑え込んでいる。もちろん、青葉の意に反するような事はしない、いわば青葉の最大の後見人であり同時に番犬だ。虎杖浜先輩は影で支える側だから、三役が一致すれば確実に期待以上の働きをしてくれる。恵比島先輩は青葉と広内金先輩が一致すれば、なんだかんだと言いながらも相手が生徒でも教師でも、個人でも団体でも、青葉の望み通りなるよう最大限の働きをしてくれる。しかも恵比島先輩は職員会議も理事会も動かせるだけの影響力を持っている。でも、今回の件では恵比島先輩は交渉役を拒否している。その理由は俺も青葉自身も痛いほど分かっている。だから青葉は広内金先輩が納得する見解や解決策を示さないといけないのだ。
「・・・あのー、私の考えを言ってもいいかなあ」
「おれは構わないぞ。とりあえず会長の意見を言ってみてくれ」
「ボクも会長の意見を知りたい」
「じゃあ、言いますよー。『まずは合同説明会で呼び掛けましょう。もし1週間たっても駄目だったら私に対応を一任させてください』ってところかなあ」
そう言ったかと思うとニコッと笑顔を振りまいたけど、恵比島先輩や広内金先輩だけでなく、虎杖浜先輩と美利河さんまで顎が外れるんじゃあないかってくらいに口をあんぐりと開けて呆然としていた。
「あのー・・・かいちょー・・・全然変わってないと思うんですけど・・・」
広内金先輩が半ば呆れたような顔をして呟いたけど、青葉はどこ吹く風と言わんばかりだ。
「だいじょーぶでーす。ホントに大丈夫ですから」
「「ホントに大丈夫?」」
「ホントにホント。それに恵比島先輩と
「「ホントにホントにホントに大丈夫?」」
「この
「あー、僕は構いませんよ。それに僕にはどうする事も出来ない問題ですからねえ」
「じゃあ、これでこの問題はお終い!」
そう青葉は言った後はニコニコしたまま、先ほどの続きである修正箇所の確認をしている。
俺は正直不安だが、青葉がここまで言い切ったのならあいつを信用してやる必要がある。それに、あいつだってこれが解決できなかったら自分の足元が揺らぎ始める事は分かっているはずだ。だから俺や恵比島先輩たちが思いもつかないような解決策を持っているはずだ。いや、持っていると信じよう。
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