第18話 大成、キレ気味に青葉に怒鳴る
「それじゃあ、あまり時間は取れないけど執行委員会を始めます」
入学式が終わり、
「今日はこの後は講堂の片付け、午後から始業式があるので、それまでの時間を利用して明日の1年生歓迎オリエンテーションと部活動・同好会合同説明会の準備作業をしたいと思います」
「今日は放課後に残りたくないからな。さっさと終わらせよう!」
「おれも賛成だ。とりあえず明日のオリエンテーションは予定通りやるとして、部・同好会合同説明会の資料の修正は終わってるか?」
「大丈夫だよー。僕の方で修正済だからそこのパソコンで確認してみてね。問題なければ必要部数を印刷するよー」
「おー、さすが
「虎杖浜先輩に任せておけば修正しなくていいと思うけど・・・たいせー、ちょっとパソコン貸してー」
「はいはい、どうぞ」
青葉が原稿の確認をしている間に
「おーい、恵比島クン、そういえば明日のあれをどうするつもりだ?」
「えー!おれの権限でどうにかなる問題じゃあないぞ。あいつは広内金の中学の同級生だろ?お前の出番だと思うぞ」
そう言うと恵比島先輩は不満タラタラと言った顔で広内金先輩を睨みつけたが、広内金先輩も先輩で恵比島先輩の視線を受け流して
「フン!ボクの手に余る問題だ。それにあいつとボクが
「言ったはずだ!それは断固拒否する!!」
「でもなあ、恵比島クンが適任だと会長も・・・」
「たとえ会長の指示でも、今回ばかりは断固拒否すると言ったはずだ!」
「かいちょー、恵比島クンがこう言ってるけど、どうなってるんだあ?」
そう言うと広内金先輩は青葉の方を見たけど、青葉は不意に話し掛けられた形になったからキョトンとしたような顔になって
「えっ?ゴメン、話を聞いてなかったよー」
「かいちょうー、明日のあれの件ですよ」
「えっ?ゴメン、あれって何?」
「「はあ?」」
思わず、といった感じで広内金先輩と恵比島先輩が珍しく息をぴったり合わせて机をバンと両手で叩きつけて立ち上がった。いやー、この二人が息を合わせるのはホントに久しぶりだ。
あ、いや、今はそんな事を感心している場合ではない。おーい、青葉、俺でもあれの内容は覚えてるぞー。ある意味、明日の部・同好会合同説明会の最大の懸案事項でもあるんだぞ。まさか忘れたのかあ!?
「かいちょうー、わたしでも覚えてますよー。剣道部の件ですよー」
美利河さんがたまらずといった感じで青葉に横からコソッとあれについて話をしたら、青葉も「おー」という顔をした。どうやら思い出したみたいだ。
「あー、剣道部の件ね。あれなら大丈夫よー」
「「「「大丈夫?」」」」
「そう。私が本人に話をしたわよー」
「青葉、何を話したんだ?どうやって納得させたんだ?」
「まあまあ、落ち着いて」
そう言うと青葉はニコッと微笑んで俺たちに話し始めた。
「『まずは合同説明会で呼び掛けましょう。もし1週間たっても駄目だったら私に対応を一任させてね』って言ったら、何も言わずに引き下がったわよー」
「はあ?青葉、それって納得して引き下がったんじゃあなく、話にならないと思って怒って席を立ったんじゃあないのかあ!?」
「あれ?そうなの?」
青葉はキョトンとした表情で俺たちを見ていたから、広内金先輩と恵比島先輩の顔が見る見るうちに真っ赤になって
「会長!さすがのおれも怒りますよ!あいつとも2年間同じクラスだったからあいつの気持ちは十分理解しているつもりです。会長より
「そうだそうだ!今回ばかりは恵比島クンの肩を持たせてもらうぞ!いくら何でもあいつが可哀想だぞ」
「えー、私はてっきり『私に任せておけば安心ね』だと思ってたよ。たいせー、どうすればいい?」
「どうしたもこうしたもないでしょ!」
「そこを何とか知恵を絞って」
「勘弁してくれよお。この話が生徒会に持ち込まれた時だって『知恵を絞って』とか言って出してきた話が『広内金先輩に本人を説得させる』『恵比島先輩のお爺様に話して解決してもらう』だったんだろ?でも、結局二人共拒否したから話が宙ぶらりんのまま春休みが終わってしまったんだから、結果的に青葉が問題を先送りしたツケを今になって払っているのと同じだぞ!」
俺は少し、いや、かなりキレ気味に青葉に怒鳴ったから青葉も沈黙してしまった。
「・・・・・」
「青葉、どうするつもりだ?」
「はーーーーーー・・・」
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