第22話 ケンケンパ

「次は、『ケンケンパ』だ。」

 ケンちゃんがグイっときた。そして、宝箱から平たい角の無い石を取り出した。

「これ使うと良いぞ。」

 『ケンケンパ』は聞いたことあるけど、何で石が要るんだろう?


「人数多いし、四組に分けようか。」

「そうだね~。」

 賛同した。


「グッパージャンケンでほい!」

 ケンちゃんの掛け声。

 グー組、パー組に分かれ。そこから、またグッパージャンケンで人数調整。見事に四組に分かれた。


 ちなみに、私はケンちゃんとの二人の組。


 四組は、間隔を開け離れる。それぞれが相談し、地面に大きな長方形を描き始める。

「四角で描くんだ。」

 ケンちゃんが教えてくれる。私も見るまでは、丸で描くって思ってた。


 あっという間に描き上がると、

「やり方知ってる?」

と。

「知って…。」

 あれ? 描かれた通りに踏んでいけば…。でも、この石どうやって使うんだろう?

「詳しくは知らない。」


「じゃあ、教えるよ。」

 ケンケンパの詳しいルールは初めて知る。

「描かれた通りに踏んでいく。で、行って帰ったら、一番から順番に石を投げて置いていく。」

 石の使い方が初めて判った。

「次からは、石ある場所は踏んじゃ駄目。」

 そういうことか。

「で、帰りに石を拾うんだ。」

「石の使い方は判った。」

「でね、線は踏んじゃ駄目。違う所踏んでも駄目。転んでも駄目。」

「あぁぁぁぁぁ!」

 ここにも罠があった。

「七番が凄い狭いし、八番が凄い広い。」

「ふふふ、そこが面白いんだよ。」


「やってみようか。」

と、言いつつ考え、

「初めてのミサキちゃん居るから、『舟漕(ふなこ)ぎ』は有りでやろうか。」

と、皆に。また、新たなルール『舟漕ぎ』。

「判った。」

 皆は承知のルール。


「『舟漕ぎ』って何?」

「『舟漕ぎ』はね。転びそうになったりした時に、手を回したりするのが、船を漕ぐ様に見えるから、『船漕ぎ』って言うんだ。」

 細かいルールだった。



「オラからやるから見てて。」

「うん。」

と、ケンちゃんが真顔になった。

「いくぞー。」

 踏み出す。

「ケン、パッ、ケン、パッ、ケン、ケン…。」

 次に踏み出す時に、空中でクルリと向きを変える。

「パッ!」

 そうか、帰りがあるんだ。


「ケン、ケン、パッ、ケン、パッ、ケン。」

と、戻って来ると、一番に自分の石を投げた。

「次は、ミサキちゃん。」

「うん。」

 一番は石があるから踏んじゃ駄目と、

「パッ、ケン、パッ、ケン、ケン…。」

 私も空中で向きを変える。

「パッ!」

 戻って一番に私の石を投げる。


 次にケンちゃんは、帰りに一番の石を拾った。で、二番に投げた。


 私の番。石の所を避けて向こうまで行く。その帰りに気が付いた。

「あっ。石拾う時に三番しか足が置けない…。」

 やって初めて難しさが判った。でも、それはほんの少し知った程度だったと、直に思い知る。


 迎えた後半。


 七番にケンちゃんが石を投げる。

「よし、入った。」

 細い場所に上手く入る。

「ケンちゃん。上手い。」


 交代し往復。で、私が七番に投げる!

「外れた…。」

「惜しい。」

ってケンちゃんは言ってくれたけど、これ難しいよ。



「終わったー!」

 何とか、終わった…。一息ついたところへ、

「ふふぶ、地獄の二週目だ!」

「えー!」

 二週目があるの…。

「二週目からは、石を投げる時は後ろ向き!」

「ぎゃー! 無理。」

 笑いながら言えた。

「そっか、じゃあ今度やる時のお楽しみだ。」

 ケンちゃんも笑いながら。

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