第16話 花いちもんめ
「じゃあ、何して遊ぼうか…。」
ウサちゃんが言うと、一斉に
「俺の!」
「私の!」
一気に混沌とした。
「はいはい。待ってね。」
ウサちゃんは慣れているのか、上手く流した。
考え中。
「そうだ!」
何か思い付いたようだ。
「『花いちもんめ』にしましょ。名前も覚えられるし。」
「そうだ。そうだ。」
皆の意見が纏まった。
「ハナちゃん。よろしく。」
「は~い。」
返事の後、少し考える。
「えっとね。」
何かの考えが纏まったようだ。
「ミサキちゃん以外で二つに分かれる。で、最初にミサキちゃんを取り合う。」
取り合うって何だろう?
「そうすれば、ミサキちゃんもやり方覚えられるだろうし。」
「流石、ハナちゃんだ。」
ウサちゃんが褒めると、
「本当に。」
皆も褒め始めた。
ハナちゃんはちょっと恥しそう。
「よし、やろうぜ。」
と、タマオくんは右手を出し、
「グッパーじゃんけん〜。」
皆も右手を出し、
「グッパーじゃんけん〜。」
続けた。
「しょ!」
六、四に分かれた。六人の方が、何も言わず、
「しょ!」
と、続けて一人を決めた。
全員で十人だった子供達は、五人ずつの二つに分かれた。
便宜上、[ハナちゃん組]と[ウサちゃん組]としておく。
「始めよう。」
ハナちゃんが仕切る。
二組はそれぞれが手を繋ぎ横一列になり、向かい合った。
「わっちからいくよ。」
「良いよ。」
ウサちゃん組から返事。
「せえのっ!」
ハナちゃんの合図で始まる。
「勝〜って嬉しい〜。花いちもん〜。」
と、歌い前に進むと、ウサちゃん組は後ずさった。
「め!」
と、同時に右脚を蹴り上げた。
「負〜けて悔しい〜。花いちもん〜。」
今度はウサちゃん組が前に出ると、後ずさるのは同じ。
「め!」
と、同時に右脚を蹴り上げたのも同じ。
「タンス長持ち、あの子が欲しい 。」
「あの子じゃわからん〜。」
「相談しましょ。」
「そうしましょ。」
と、交互に歌いながら前後に歩いた。
その後、輪になって話し合った。
「決〜まった。」
「決〜まった。」
双方が同じ台詞を言うと、また手を繋ぎ横一列で、向かい合った。
ハナちゃん組が前に出ながら、
「ミサキちゃんが欲しい〜。」
ウサちゃん組は後ずさる。
今度は、ウサちゃん組が前に出ながら、
「ミサキちゃんが欲しい〜。」
ハナちゃん組は後ずさる。
終わるとウサちゃんとハナちゃんが前に出た。
「じゃんけん!」
と声を合わせ、
「ポン!」
繰り出すハンドサイン。
「勝った!」
ハナちゃんは、チョキのままの右手を、上げて喜ぶ。
「負けた…。」
ウサちゃんは項垂れる。
「ミサキちゃん、こっち。」
呼ばれて行くと、ハナちゃんとタマオくんの間の真ん中辺りに入った。
「今のを繰り返すの。」
ハナちゃんが笑顔で。
「うん。」
私も笑顔で返す。
始まる激しい攻防戦!
「負けた…。」
最後の一人となったケンちゃんがじゃんけんで負けた。
ハナちゃん組の勝利! 最初に私が入ったのが勝因だったみたい。
「どうだった、ミサキちゃん?」
ハナちゃんが聞いてきた。
「楽しかったー。」
「良かったぁー。」
ハナちゃんのとびきりの笑顔。
「じゃあ、次は…。」
ウサちゃんが仕切る。
「ミサキちゃん、何が良い?」
「う~んとね。」
考えた。
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