第14話 混乱

「次は、私。『ゴム跳び』のウサ。」

 取り出したのは紐ゴム。家庭科の時間に使ったかな? 普段は見ないよね。

「これを二人で持って、ピンと張るの。それを飛び越えるのよ。」

 シンプルだ。さっきの『てんか』がルール難しかったから、余計に感じるのかも。


「次は…。」

「ち、ちょっとごめんなさい。」

 両手の平を前に出し止めた。

「皆の話を聞いてると楽しそうなんだけど…。」

 皆が首を傾げる。

「いっぺんに覚えられない…。」


 静寂。


 そして、大爆笑!


「それはそうね。」

 笑いながらウサちゃん。続き、

「そうだね。」

「そりゃそうだ。」

 皆が笑いながら。


 私も釣られて、笑いの輪に入った。


「じゃあ、簡単にね。」

 やっぱり仕切るのはウサちゃん。


「オラは『ケンケンパ』のケン。」

 ここに連れて来てくれた男の子。


「私は『お手玉』のメグ。」

 布で作ったお手玉を見せてくれた。


「僕は『影踏み』のフミオ。」

 黒っぽい服装が印象的。


「わっちは『花いちもんめ』のハナ。」

 服が派手な花柄。


「俺は『ぱっちん』のウラガ。」

 見せてくれたのは『面子(めんこ)』。


「あたしは『かごめかごめ』のカゴメ。」

 『かごめかごめ』は聞いたことがある。


「ワイは『だるまさんがころんだ』のタツマ。」

 印象が達磨(だるま)っぽい。



 私は何とか名前だけでもと覚えようとしたが、

「ごめんなさい。まだ、名前と顔が一致しない…。」

 正直に言った。


「その内、覚えるでしょ。」

 ウサちゃんが明るく言い、

「他にも、いるんだけど…。今日は来てないの。」

 

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