第13話 ノブくん

 食い気味に割り込んだ男の子が、ずいっと前に出て、

「ワシは『てんか』のノブじゃ。」

 『てんか』って何だろう? って思ったのが顔に出たのか、

「『てんか』って言うのは、コレを使ってた遊ぶんだ。」

 取り出したのは、赤いプラスチックのボール。

「ボール?」

 見たままを口に出した。

「ただのボールじやないぞ。カラーボールだ。」

「カラーボール?」

「そうそう。カラーボール。」

と、ノブくんは小屋の方へ行き、屋根に向かってカラーボールを投げた。

「屋根から落ちて来るまでに、誰かの名前を言う。で、言われた人は地面に落とさないように捕る。」

 落ちて来たボールを取り、

「捕った人は、屋根にボールを投げ、名前を言う…。」

 また、屋根に投げた。

「名前を言われた人が地面にボールを落としたら、拾うまでに他の人は逃げる…。」

「逃げるの?」

「うん。拾ったら『止まれ!』って言うんだ。言われたら逃げた人は動いちゃ駄目。」

「ふーん。」

 ちょっと混乱してきた。

「今度は誰でもいいからボールをぶつける。」

 言い方に熱が入る。

「ぶつけられたら、その人は1点。もし当てられなかった、投げた人が1点。3点で張り付け!」

「張り付け!?」

 びっくりな言葉。

「そう、張り付けは壁とか木に向かって立たされ、他の人が一球ぶつけて良いんだ。」

「名前、怖い…。」

「でも、楽しいよ。」

 確かに皆でやれば面白そうだった。


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