第11話 提案
「ところで、ミサキちゃんはどうして山で寝てたの?」
ウサちゃんが興味津々で聞いた。
「寝てたわけじゃなくて…、たぶんだけど道から落ちたんだと思う。」
「えっ!?」
流石に驚き、ケンちゃんに、
「そうなの?」
と。聞かれたケンちゃんも驚き、
「オラが見付けた時には寝てたから…。」
「大した怪我じゃ無かったら良かった様なものだけど…。」
ウサちゃんが、他に怪我がないかと確認を始めた。
「大丈夫みたいね。」
それを聞いて私も一安心。
「じゃあ、何で山に入ったの?」
「えっとね。駅に行こうと思って…。」
「駅?」
「うん。お父さんを迎えに行くんだ。」
子供達は顔を見合わせる。
「駅には行けないよ…。」
言葉の最後の方は小声になっていた。
「行けないの!?」
今度は私が驚く。
「近道だと思ったのに…。」
ショックだった…。
ふと、気が付いた。ウサちゃんの後ろの男の子が横の女の子の裾を引っ張っていた。
「分かったわよ。聞いてあげるから…。」
二人だけに聞こえる声で会話していた。
「あのぉ…。」
ウサちゃん越しに話掛けてきた女の子。
「どうしたの。メグちゃん。」
ウサちゃんが振り向きながら聞いた。
「ミサキちゃんのお父さんって、もう来るの?」
「判んない…。お仕事終わってから来るって言ってたけど…。」
約束を破ったお父さんを思い出し、また腹が立った。
「じゃあ、さあ…。私達と遊ばない?」
他の子供達も、うんうんと頷いていた。
「新しい子が入ると楽しいと思うのよ。いっつも、同じだし…。」
「う~んと…。」
見上げると太陽は、まだ私の真上だった。
「良いよ!」
約束破って来ないお父さんが悪いんだ。さっき、腹を立てたのを思い出した。
「やったー!」
子供達全員が喜んだ。
「皆で遊ぼう。」
私の言葉で、ウサちゃんが、
「じゃあ、皆。自己紹介して。」
「はーい。」
元気いっぱいの返事。
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