第8話 向かう

「そうだ! 駅で待ち伏せして見せれば、お父さんは絶対にびっくりする。」

 そんな他愛も無い悪戯心が私に芽生えた。


 小さい頃から行動力はあった私は、立ち上がると周りの風景を見て、

「あっちがお爺ちゃん家だから…。」

と、指差しで方向を確認し、駅があると思う方へ動かす。

「あっ…。」

 駅があると思う方にあったのは、小高い丘。遠くだから小高い丘に見えたと言う方が正しいかもしれない。

「あれを越えて行けは近道。」

 自然が冒険心をくすぐった。


 お父さんは『直に来る』って言ってたし、今から行けは間に合う。

 やっぱり、駅に向かって歩き出した私。

 しかも、鼻歌交じりだ。


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