第99話 男の威厳
「部屋はあるのですが、その…、7人部屋というのはなくて、シングルかツインかダブルしか、ご用意できません」
「クラウディアとノイミはツインでいいわね。後はどうしようかしら?」
「なら、俺はシングルにして、後は適当に割り振ってくれ」
「でしたら、ラピスはエミリーと一緒で、ミュはネルと一緒でいいかしら、残りのマリンは私と一緒で」
第一夫人のエリスの意見には他の嫁も逆らえない。結局、エリスの意見の通りになった。
この部屋割りを聞いて、俺は心の中で万歳をしていた。
これで、今日は一人でゆっくりと眠ることが出来る。いつ以来だろう、睡眠がこれほど楽しみになったのは。今日は思いっきり、ゆったり寝よう。
部屋に入った俺の所にエリスが来た。その後ろには嫁たちに加え、クラウディアとノイミも居る。
「シンヤさま、食事に行かない?」
夕食を誘いに来たのだった。
「ここは、街外れだ、どうやって街中に行く?極地探検車だとじゃまにしかならないぞ?」
「タクシーを呼ぶわ」
フロントでタクシーを呼んでもらうと、大型タクシーというのがあって、10人乗りだそうだ。それに乗って、中心街にある飲食店ストリートに向かう。
「ここでいいわ。車溜がある場所でタクシーを降り、そこから店を覗きながら、決めましょう」
嫁たちは、あーだ、こーだと言いながら、店を廻って行く。
お店の人も店の前に居て、客を呼び込んでいる。
「ここにしましょう」
エリスが指差したのは、肉料理がメインの店だった。
「いいのか、肉料理で」
「シンヤさまには体力をつけて貰わないといけないから」
嫁たちの目が光った気がするが、腹も空いていたので、その店に入った。
エリスが次から次に注文し、それを俺たちは胃袋の中に流し込む。
「はぁー、食った、食った。なんだか久しぶりに腹いっぱい食ったな」
「シンヤさま、体力はつきましたか?」
「もちろん、これだけ肉を食ったからな。体力も満ちているさ」
「良かった。シンヤさまが疲れていると妻として心配だから」
他の嫁たちも首を縦に振っている。
再び、俺たちはタクシーを拾って宿に帰る。
「それじゃ、おやすみ」
俺は部屋に入り、早速、風呂に入る。だが、この宿の風呂はバスタブがないシャワーだけの風呂だ。
俺が居た現代でも、海外ではバスタブがあるホテルは高級ホテルだったので、バスタブがなくても仕方ないのかもしれない。
シャワーから出てゆっくりしていた時だ。
「トントン」
誰か、部屋の扉をノックする音がする。
「はい」
扉を開けると、そこに居たのはエリスたち、嫁6人だった。
「どうした全員で?」
「ここの宿のお風呂って浴槽がないじゃない。やっばり、浴槽がないと疲れが取れないと思って、自宅のお風呂に入りに行かないかなと思って、誘いに来たの」
その通り、足を延ばしてゆっくりと風呂に入りたい。
「そうだな、たまにはゆっくりと風呂に入りたいな」
「では、転移するわね」
エリスが魔法を広げ、そこに俺と嫁たちが乗ると、次に気が付いた時は、自宅の寝室にいた。
「早速、侍女にお風呂を入れるように言うわね」
エリスが侍女を呼んで、指示をする。
うちの風呂は温泉なので、風呂を沸かす必要がない。なので、広い風呂にも関わらず、風呂を沸かす時間はそうかからない。
「では、みんなで入りましょう」
全員で風呂に入るとなんだか、怪しい雰囲気になってきた。全員が俺にベタベタし出したのだ。
「おい、今日は風呂に入ったら、イリシーゲルの宿に戻るんだろう」
「あそこのベッドは堅そうだったから、こっちで寝ましょう」
エリスがそう言うが、その言葉の本位を俺は悟った。
「いやいや、今日は一人で寝るから」
「何を言ってるの。極地探検車ではクラウディアとノイミが居るから我慢してきたのよ。ここで、逃げられたら、もう気が狂いそうよ」
やばい、嫁たちの目が獲物を狙う目になっている。
「あっ、いや、それでもだな、俺も歳だから体力的に問題もあるし…」
「夕食に肉を食べて体力は問題ないでしょう。それに体力が枯渇しても、私の回復魔法があるから大丈夫よ」
いや、それは勘弁。
「あっ、いや、待て、おい」
俺は嫁たちに拉致され、寝室に置かれた特別性の広いベットに運ばれた。
「あっ、ちょっと待て」
「もう、無理」
嫁たちが服を脱ぎだした。
「だから、待てってば」
俺の服は嫁たちに脱がされ、あっという間に裸になった。
「さあ、今晩は心ゆくまで楽しみましょう」
「あっ、アヤカやタケルも居るし…」
「あの子たちなら、ドミトリーに居るハズよ」
今度はラピスが答える。
「いや、ほら、何が起こるか分からないし、ホーゲンが何か問題事を言って来るかもしれないし…」
「ホーゲンさんは、帰って来た事を知りません」
今度は、エミリーだ。
「マ、マリン、そうだ、お父上に挨拶してからというものがあるだろう」
「今更、何を言うのです。それに父上も早く孫の顔が見たいと言っていました」
人魚と人族の間には子供は生まれない。なのにどうやって孫の顔を見るんだ。
「ミュ、ネル、どうにかしてくれ。
「ご主人さま、あきらめなさいませ」
「えっと、血を飲ませてくれるなら、明日でもいいですけど」
ネルはどうにかなりそうだな。
「ネル、シンヤさまの血を飲んだら、ご主人さまはそれでノックダウンよ」
「なら、精の方でいいです。ご主人さま、することはしましょう」
「あ、だから、そこはだめだって」
結局、俺の意思に関係なく、男の機能は威厳を保った。
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