Episode5
昨日みたいにフィールドボス出てこないかな~なんて思いながら進んでればそのうち出てくるかな~。とか思ってた俺が馬鹿でした。
ゴメンナサイ。
でも・・・。
「なんでこんなにエンカウントしないんだよ!?」
「もしかしなくても狩りつくされちゃったからだよね・・・」
「くっそ・・・。ユウ、もういっそのことダンジョン行くか?」
「また、いきなりだね・・・」
俺の唐突なダンジョン行く?発言にユウは苦笑いしながら答えた。
実際ここの近くに3つくらいあるダンジョンなら今の俺たちでも大丈夫だ。
3つのダンジョンの攻略推奨レベルは6~7。
ユウはまだレベル3だが俺はもうレベル11だ。
それに二人ともある程度装備は整っているのでユウのレベルがダンジョンで上がれば問題ない。
確かここから一番遠いダンジョンのボスがレアドロップで弓をドロップするらしいのでそこに行こうと思っている、とユウに伝えたら、むしろ僕がお願いしたいくらいだよ、でもなんでそんなにいろんなこと知ってるの?と言われてしまった。
調べたから、とは言えなかった。
ユウはそういうのをあまり好まない。
たとえ相棒のような存在である俺だとしても、だ。
さっきの装備のことにもそれが顕著に表れている。
だから俺は「耳に入ってきただけ」と言っておいた。
なんだか不服そうに見えたが「ま、いっか」と呟くと先に歩いて行ってしまった。
ユウのことだからもう察しはついてるんだろうなぁ・・・。
「あ、ちょっ、待てって、ユウ!」
「早く行かないと周回する時間がなくなっちゃうよ」
周回はするんだ・・・。
ま、さっきのことも水に流してくれたみたいだし、十分おつりがくるか。
「あとでさっきのことは詳しく聞かせてもらうからね」
「・・・・・・」
流してなかった、めっちゃひきずってた。
3時間後、無事目的のものを手に入れ、レベルも上がった俺たちは街に戻った。
俺はすぐに別のダンジョンに向かおうとしたのだが、ユウにバレて捕まり1時間ほどみっちりお説教されました。
仮想世界でも足はしびれるんだね。
1時間でまた一つ賢くなったよ!
あ、ユウがまたなんか黒い笑顔でこっちに来てる。
え、またお説教?
俺なにも悪いことしてないよね?
え、有罪(ギルティ)?
異議あ・・・なんでもないです、ごめんなさい。
異議なんてありません。
全会一致です。
この後俺は3時間ほどユウに説教されました。
・・・俺の相棒がいつの間にか闇化してた件について。
え、ちょ、まっ・・・。
その日、俺がダンジョンでレベリングに行く事はなかった――。
―――――――――――――――
翌日、目を覚まして飯を食ってからすぐにWOVにログインした。
昨日ユウとオハナシしてたおかげでダンジョンにレベル上げに行けなかった。
まあ、あれは俺が全面的に悪いんだけどさ・・・。
そんなわけで今俺は少し遠出して、徒歩で2時間ほどかかるダンジョンに来ていた。
俺がレベリングをするにはこの辺しかない。
あとは敵のレベルが高すぎたり低すぎたりしてだめだった。
ダンジョンに入るとなにやら女の子の声と魔法の音が聞こえる。
気になって近くまで行ってみると、俺と同じくらいの年齢の、かなり可愛い部類に入るであろう(現実でこの容姿なら、だが)女の子が一人で<マッドスパイダー>と呼ばれる蜘蛛型モンスターと戦っていた。
マッドスパイダーのレベルは12俺のレベルより1高かった。
彼女は風魔法を主体にして戦っているようだが、マッドスパイダーは見た目に反して意外と防御力が高い。
何回か被弾してしまっていてあと2回被弾したらおそらく彼女のHPは全損するだろう。
ただ、今飛び出してしまうと獲物の横取りだと思われかねない。
だからといって見捨てるようなことはしたくない。
彼女のHPがレッドゾーンを割るまでは様子を見よう。
そう決めた矢先だった。
「シャアアアッ!」
「きゃっ・・・」
マッドスパイダーの吐いた毒液が彼女にクリーンヒットしていた。
幸い、毒液自体のダメージは微々たるものでHPは大して減らなかったのだが、彼女は状態異常<毒>になっている。
<毒>は一定時間ごとに一定のダメージを与えるというもので、HPが警告を示すレッドゾーンを割ってしまっている彼女にとってはかなり危ない。
さすがにこれは不味い。
このままではこの女の子はHPを全損してゲーム世界の中でとはいえ死んでしまう。
そう思った時には既に体が勝手に動いていた。
「はあっ!」
「ギシャアアッ!?」
「え・・・?」
俺はマッドスパイダーの弱点の一つである首筋を切り裂いて部屋の反対側まで蹴り飛ばした。
マッドスパイダーは意外と軽く、STRの低い俺でもかなり遠くまで蹴り飛ばすことができた。
俺はすぐに女の子の近くに行って<回復魔法>を使って体力を注意を示すイエローゾーンまで回復させると、ストレージから解毒ポーションを出して、彼女に「これ使って。毒消えるから」と渡し、すぐにマッドスパイダーを蹴り飛ばした方に体の向きを戻し、短剣を構えた。
「さて、他のが寄ってこないうちに片づけるかね」
そう言って思い切り床を蹴った。
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