Episode4
「ガアアァァァ・・・」
フィールドボスであるCrescent Assassinが断末魔をあげながら光となって消えていく。
やっと、終わった・・・。
1時間以上休憩なしで戦いっぱなしは結構きついな。
ただ・・・。
ドロップアイテムのウィンドウを見る。
目的のものは手に入ったからよしとするか。
さっそくストレージから出して装備を変える。
<月影>という銘の短刀の刀身を見て思う。
確かにドロップしたモンスターとあっているな、と。
Crescentは三日月を表す。
つまり月だ。
Assassinは暗殺者。
暗殺者は裏の存在。
つまり影。
Crescent Assassinという名前が月の影というのをうまく暗喩していると俺は感じた。
それはともかく、この剣を扱うには別のスキルが必要らしい。
<短刀術>そのまんまだ。
短剣術の上位派生スキルらしいが取得条件自体は易しかった。
短剣術の熟練度を100まで上げればいいらしい。
今のおれの短剣術の熟練度は40を超えたあたりなので1、2週間もあれば十分にいけるだろう。
そしてもう一つの目玉がボスの着ていたものと同じようなローブだ。
<
まずこのローブ、<隠密>スキルに高いボーナスがかかる。
加えて防御力もそこそこある。
だがそれだけではない。
一番驚いたのは装備者の全ステータス5%アップという壊れ性能だ。
これを見たときあの平原で思わず大きな声で叫んでしまったので、集まってきたモンスターを全滅させるのにかなり苦労したのはいい思い出だ。
他にも今使っているのよりも強めの短剣がドロップしていたので主武器(メインアーム)をそれに変更し、短刀術スキルが取れるようになるまで使おうと思っていた。
「とりあえず目標は達成できたし、今日はもう落ちるかな」
その後は街に戻ってログアウトし、そのまま眠りについた。
――――――――――――――――
翌朝、スマホの着信音で俺は目を覚ました。
今何時だよ・・・とか思いつつ時計を見ると11時を回っていた。
やっべ、目覚ましセットするの忘れてた。
幸いにも今日は日曜日で、学校はないのだが・・・。
「もしもし」
「あ、やっと起きた。もう11時過ぎてるよ。いつまで寝てんのさ」
「ごめん。昨日少し遅くまで入っててさ」
「へえ、なにしてたの?」
「それは入ってから話すよ。ユウは今から入るのか?」
「うん。そのつもり」
「じゃあ、向こうで落ち合うか。俺も飯食ったら入るから」
「了解。じゃあ平原の前のゲートの近くにいるよ」
「おう。じゃあ後でな」
「うん。またあとで」
さて、じゃあさっさと着替えて飯食って入りますか。
遅めの朝飯を食べ終わり、今俺は待ち合わせの場所に来ているのだが・・・。
「人、多すぎだろ・・・」
そう今日は日曜日。
つまり今日はインしている人がいつもよりも多いのだ。
こりゃフレンドメッセージ送ったほうが早いかな・・・。
そんなことを思いながら人混みをかき分けて進んでいると、少し離れた場所にユウらしきプレイヤーを見つけた。
「お~い、ユウ!」
すると向こうも俺に気付いたのか「あ、ヒューガ!」と言いながらこちらに向かってこようとした。
・・・したのだが、人混みに流されてなかなか合流できない。
俺はアイコンタクトで「人混みから出て、近くのベンチで落ち合おう」と伝えてから人ごみから何とか脱出し、同じくアイコンタクトで「了解」と返事をしてきたユウも人混みをかき分けてどうにか人混みから脱出することができた。
「はぁ、人多すぎるよ・・・」
そう愚痴をこぼすユウに俺は苦笑しながら返した。
「そりゃ、今日は日曜だからな。まあここまでとは正直思わなかったけど」
「本当だよ。で、どうする?この状態だとしばらくはフィールドには出られないよ」
「そうだな。俺は昨日のうちに装備更新できたからいいけど、ユウはまだだろ?」
俺のその言葉にあはは、と笑いながらユウは頷いた。
「まったく、ヒューガはいったいどこでそんないい装備を手に入れたんだよ」
「昨日いろいろあってな。さ、お前も装備更新しなきゃだしあとは歩きながら話そうぜ」
「うん。僕の装備選びも手伝ってくれよ。ヒューガのほうが僕よりわかるだろ」
「おう、任せろ」
それからしばらく、俺昨日あったことをユウに話しつつ、ユウの装備選びを手伝っていた。
結局、青いコートと黒のズボン、コートの下は濃いめの水色のものを選んだ。
もちろん効果もそこそこいいもので、ぎりぎりユウの持ち金で買えるものにした。
昨日けっこう稼いだ俺が出してもよかったのだが、貸しは作りたくない、と断られた。
別に借りだなんて思わなくてもいいのにな、と思ったが素直に引き下がった。
ちなみに弓は変えていない。
モンスタードロップで狙おうということで話がまとまったからだ。
そんなことをしている間に1時間が経過していて、大分人混みがましになったので、新装備での戦闘に心躍らせながらフィールドへの道を進んでいった。
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