由莉達は少し忘れていました
他の人の邪魔にならないように何とか感情を堪えた由莉とえりかは外に出た。
「でも、ゆりちゃんすっごくかわいいな〜阿久津さんもそう言いたくなるよ」
「え、えりかちゃん……そんなに見られたら恥ずかしい……」
阿久津に変に茶化され本当に似合ってるのか若干自分でも疑問だった由莉だったが、えりかの真っ直ぐな言葉を聞いてようやく自信をもてた……と同時に少しだけ恥ずかしくなって頬を熟したりんごのように赤くして俯いた。
「さて、そろそろ行きましょうか。今日は色々やりますよ」
「……はい!」
「はいっ」
二人は阿久津の呼びかけに元気に返事をすると手をぎゅっと繋いで後を追いかけていった。
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それから何分か歩いている間、二人は周囲の目線が少しだけ気になっていた。
「ねぇ、ゆりちゃん……さっきから少し見られてる気がするよ……」
「私も思ったよ……確かに目立ってるよね、あはは……」
由莉はまだ暗い茶色だし他にも自分より茶色の人がいるから大丈夫だと思っていた。二人が割と注目を集めているんだろうなと少し安心していた。
____えりかちゃんはすっごく明るい茶色の髪の毛だし、阿久津さん金髪だから他の人より目立っちゃうよね……
……だが、世間の感想は真逆だった。
(なに、あの小さい女の子可愛い)
(もうロリコンでもいいし通報されてもいいから声かけたい……)
(ヤバっ、あの子ちょーカワイイじゃん!)
(やっぱり、俺ロリコンなのか……?愛らしすぎる)
由莉に目がいっていたのだ。目立つ髪色のえりかと阿久津に挟まれたせいでかえって目立っていたのもあったが、由莉の容姿は人々の目を引くものがあったのだ。……当の本人は全く気づいてないようだが。
いや、寧ろ気づいていたらガチガチになってその場から動けなかっただろう。
「まぁ、目線気にしても仕方ないからとりあえず普通にしよ?私たち以外は全員かぼちゃだと思えば怖くないよ」
「そ、そうかな……?」
えりかは疑問に思いながらもそう思い込んでなるべく人目をきにしないようにしながら阿久津のあとに付いていった。
――――――――――――
3人はエスカレーターに乗って2階まで移動していた。最初は由莉もえりかも初めて見るエスカレーターにビクビクしていた。
「え、えりかちゃん……これどうやって乗るの?」
「わからないよ……ゆりちゃん助けて……」
「大丈夫……皆んなみたいにあそこに乗ればいいみたいだけど……ちょっと怖いかも」
乗り方がわからない、乗ったら転んでしまいそう、 そういった不安が頭をよぎったが阿久津がやっているのを真似てタイミングを見計らいながら段に飛び乗ると浮き上がるような感覚と共に身体が元いた1階から離れていくのが分かった。
「私、これ初めて乗ったけど……すごいね」
「うん……ゆりちゃんがいなかったら乗れなかったよ」
本当に甘えん坊だなぁ、と少し苦笑しつつも頼ってくれることに嬉しくなる気持ちもあり複雑な気持ちになったのだった。
「そう言えば二人ともお腹すいてませんか?」
2階へと昇る途中で阿久津にそう言われて由莉とえりかは、はっとした。
……そう言えばまだご飯食べてなかったんだ!!
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次回 お待ちかねの飯テロ回です
今日中に出せたら出すのでお楽しみに!
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