由莉は知らない記憶に出会いました
「っ!?はぁ……はぁ…………っ!」
由莉は飛び起きると汗をびっしょりと掻いていた。息も荒く、疲れが全く取れていないせいか体が変な感じがする。
ふと時計を見ると、デジタルの時計には6月27日AM06:14と書かれていた。もう時間だ……と思いつつベッドから足を出して何とか身体を起こした。
「なんだったの……?あの夢……うぅ……」
その直後、唐突なめまいに襲われ由莉は手で目の辺りを抑えた。こうすると少しは落ち着ける。
(あんな夢を見たから……かな……あんな……あん……な……くぅっ!?)
頭が締め付けられるように痛んで昨日の出来事がフラッシュバックのように頭の中に流れ__いや、違う……!?昨日のやつじゃ……ない……?
その光景は由莉が全く知らないものだった。
___おびただしい量の血
___目の前に倒れている少女
___そばで一人怯えている……小さい頃の自分
「なに、これ……?なんなのこれ?……知らない……私こんなの……知らないよ……っ!」
それは昔の自分のはずなのに……その記憶が一切ないのだ。おかしい……何かがおかしい。けど何故なのか分からない。頭の痛みも相まって由莉はパニック寸前だった。すると、追い打ちをかけるかのように声が頭の中に響いてきた。
『……ちゃん……』
知らない女の子の声だった。知らない……はずだがどこか懐かしい気もした。そんなわけがないのに____
『ゆー……ちゃん……』
「えっ……?」
ゆーちゃん……そんなあだ名で呼ばれたことなんてないのに……それが自分の事だとなぜかすぐに分かった。けど……誰……?あなたは……だれなの……?分からない。どれだけ自分の以前を思い出してもそんな女の子なんて見たことないし、声も聞いたこともない。じゃあ……じゃあ!
「誰……なの……?っ!頭が……いたい……っ!」
まるで思い出すのを拒絶するように由莉の頭痛は激しさを増していった。なんとか耐えていた由莉も遂に限界に達しベットに倒れ痛みが引くまで
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