終章
翌朝、尚は学校へと向かう途中だった。片道二十分の通学路を歩いていると、同級生の宏が声をかけてきた。
「おはよう。何ボーッとしてるの」
「おはよう。なんか変な夢を見てさ。釣りをしてたら魚が女の子になった夢で」
「おーいー大丈夫かー?」
宏の声も虚ろなまま、俯いていた尚が顔を上げると、目の前にショートカットで目のくりっとした女の子が立っていた。
「おはよう。すずきです」
「すずきさん‥‥」
「この前、私に勝っちゃったじゃない。だから私、あなたの言う事を聞きにきたの」
「ごめんね。僕、これから学校だから」
尚がすたすたと優実を通り過ぎようとすると、優実は尚の顔を覗き込んだ。
「大丈夫よ!あなたの側にいて、大人しくずっとそこにいるから」
優実がわらうと跳ねるように尚の後をついて歩いた。すると、ヤーミとマットも現れ彼等の行く手を阻んだ。
「それはあたしのものよ」
「なに言ってるの?そんなのより僕と遊ぼう!」
尚は半ば諦めた表情で呟いた。
「‥‥君ら、学校へ来い!」
小坂尚の学校には何故か女の子の鱸、黒鱸と疑似餌くんがいた。これから、彼女たちが騒動を巻き起こす事も知らずに‥‥
END
すずきさんと黒すずきさん 嬌乃湾子 @mira_3300
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