第8話 執念

ゼウスはこれからのことを思い描いていました。

『この塔の建設が終われば、天界と現世が一つとなりまた新しい世界を始めることができる。エウリュイアが亡くなった時のような悲しいことの起こらない、全く新しい幸せな世界が待っているに違いない。そうなれば、地底に閉じ込めたエロスやガイア、ハデスも分かってくれ、もう一度新しい世界を運営していくことができるはずだ。そうに違いない。』

そう考えていた次の瞬間、




グサリ




ゼウスの胸元に穴が空きました。そして血は流れでずに穴の先に吸い込まれていきました。ゼウスが呆然としていると、目の前に突然アウスが表れました。アウスはハデスから借りた隠れ兜によって姿を消していたのです。

「こんにちは。私はアウス。あなたを倒しに来ました。このナイフはガイアから借りた生命のナイフ。あなたを大地に返します。」

ゼウスは呆然として言いました。

「まさか。そんなことが。あと、あと少しというところで。。。人間よ、天界に行きたくないのか。」

「いいえ。私はあなたを倒し、世界に秩序を取り戻します。」


「ぐっ、、、そんな馬鹿な、、、」

そういうとゼウスは、青白い光となって大地に消えていきました。

アウスが役目を終えると、天から眩い白い光が降り注ぎ、アウスは天に返っていきました。


大地に光が満ち、美しい土人形達は崩れ落ち、人々の間に愛が戻りました。人々は死に敬意を払い死者を冥界へと丁寧に送るようになりました。ゼウスの魂は母なる大地に還り、他の神々と共に世界の行末を見守っているのです。


〜終〜

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Deusu do Poetos 山川一 @masafuro

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