🍶黄桜ちゃん

 月桂冠ちゃんには同郷のお友達がいる。

 だから、今回の件を相談してみることにした。


「んー。あたしだったら森伊蔵さんかなあ」


 可愛いツインテールの頭を片方に倒しながら、黄桜ちゃんがにゃは、と笑う。


「そうじゃなくて、そもそも揶揄われてるだけなんじゃないかと思うの」


 わたわたと顔の前で両手を振る月桂冠ちゃんに黄桜ちゃんがすいっと顔を近づけた。


「ないね!」


「えっ。ええっ」


「越乃寒梅くんはともかく、森伊蔵さんがそんなことする訳ないじゃない」


 大好きなカッパのぬいぐるみをぎゅうっと抱きしめて、黄桜ちゃんはにやにや笑っている。


「可愛いよね。森伊蔵さん」


 森伊蔵さんをつかまえて可愛いなんて、黄桜ちゃんの感覚が分からない。

 月桂冠ちゃんはため息を吐いた。


 黄桜ちゃんは「キューちゃん」と名付けたぬいぐるみを抱きしめて、何故か足をばたばたさせている。

 ご機嫌。

 こういうときの黄桜ちゃんは、何やら好からぬ妄想をしていることが多い。


 相談するひと間違えたかなあ。

 月桂冠ちゃんはご機嫌な黄桜ちゃんに温ーい目を向けるのだった。

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