第4話 102号室

 この部屋に住んでる男はクズである。だけど、こんなクズが老婆の息子であるという事が私には到底信じる事ができない。


 普通は皆が働いている時間に部屋にずっといる。203号室に訪れては、老婆に金を要求するのもたびたびである。たまに203号室で老婆と一緒に食事をする事もあるが、本当にたまにの事である。それに、この息子が102号室に住みだしてから、老婆の元気が徐々になくなっていっている気がするのである。


 階上の202号室の住人とも何度も揉めている。老婆の心労が絶えないのも理解ができる。


 私は老婆のために何かしてあげたいが、ただ見守ることしかできないのである。

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