第2話 201号室

 改築したおかげか、201号室には女性が入居していた。改築前の畳の部屋ではありえないことであろう。これが全面フローリング、セパレートトイレの実力であろうか。


 それも人の基準から言って、美人の部類に入るのであろう事がわかる。住人達はこの女性と出会う時にテンションがあがり、挨拶を交わしているからである。他の者同士では、玄関先で出会っても挨拶どころか目線すら合わせようとはしていない。


 私はこの女性に対して1つ言いたいことがあった。


 猫である。このアパートは動物を飼うのを禁止しているはずである。時に私をなめまわし、時にその鋭利な爪で私のいたるところを傷つける。私が無抵抗なのをいいことに、その凶行はとどまる事をしらない。私はこの猫を何とかしてほしいのである。


 そして、その凶行は私の内部だけでなく、外部までをも傷つける。閉まっている玄関扉さえも傷つけるのだ。たぶん、部屋の中に入りたいと思っているのだろうけど、猫の手はドアノブに届く事はない。私はこれ以上傷つけられたくないので、自ら扉を開けよう試みるが、やはり私にそんな力は存在しない。


 私は傷つけられるのをただ黙って見守るしかないのである。私は何とか自分の力で扉くらい開けられる力はないか模索する。

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