話の話

ひきちぎられた、話のながれに

くさい汁がツたう、ひと幕を

聞き耳をたててやり過ごしてきた

アーカイヴがいま、管である皮膚を

いばらのように滴り落ちてくる

裏技も、もののあはれで

デバッグされれば安泰だったと

膝を打つ、撃たれた膝がまっさらな

クレーター穿つ、足の裏でむず痒く

彩度、落としたままでいる

灰を、紙のように吹雪く、力能とはと

書かれたりはしない、ツッ立った指の腹を

ツゥーッと絵の具が、音楽室の竹笛で

裂けているのを知った、知りながら

避けたもの

よつんばいのクローバー

おたまじゃくしの農夫

湯舟にうかぶ皮下脂肪を

呑み込むナイルだか

ガンジスだかを、造成してなお

悔やんだこと、推し量れなくて

くらべものにならないくらい

燃やされる、はじめられる

くべられる黒板を、鳥葬

啄む四方山話が

天井から、がれきになって降る、春

という浴室にいた、鏡にむかって

彫刻刀を持たないでね

ひざまずいて冀う天井や

柱や梁があって、それではじめて

ひとであると知る

皮膚の壁を、ッツーーーと、すべる

スリープウォークで

統べることなくまた、滑落して

割れてとびちる走馬灯を

裏裏裏と

リセマラ連呼してはまた

孔と誤認され、ひきちぎられたと

憮然と、なおも

ぬかしおる。

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