詩？

葬列あるいはパレード

葬列あるいはパレードの

いずれかを選びなさい

「ディズニーシーで葬式をやりたい、

　ミッキーマウスに遺影を運ばせたい！」

潮騒あるいは猫を撃つ銃声の

いずれかを選びなさい

「遊泳区域にはサメがいるし、

　灌木の奥で猟師はナァンと鳴いている！」

ディスプレイあるいは膝小僧の

いずれかを選びなさい

「四角いカドが鳩尾を刺して難儀です、

　膝蓋骨の曲線がペーパーナイフ！」

ハレー彗星あるいは隕石の

いずれかを選びなさい

「見上げれば尾を引く真空が、

　五分後に墜ちて地を血で洗う腰巾着！」

生霊あるいは晴れわたる廃墟の

いずれかを選びなさい

「夏草の燃える六階建てアパート群は、

　顔認識が無数に浮かぶ闇の窓枠！」

「おだやかなデスマスクで

　モスクへ匍匐前進！」

「君を抱いたのだが

　わいせつ罪で死刑！」

そういう類の残務で現世は持ちきりで

常世の空蝉は気づけば水風船であった

「殷盛の絶頂に鼠となって死ね！」

わがままダイナマイト願い事をひとりごちる

七分前にミッキーマウスを屠ったばかりの

指は

「あたたかい、

　ぬるぬるする」

これから何事もなかった貌で

血まみれのキーボードを

便所で洗う

夜明けの星は流れ込む青に咀嚼され蕩尽され

「あの中のどれが

　諸葛亮孔明だったかしら？」

なんて

感傷的なことを考える

予報は午後からにわか雨

訃報に備えて

汗をかいて血抜きをすませたら

眠たい水を呑んで眠るだけ

眠るだけ

眠るだけ

眠るだけ

眠るだけだから

起こすな