あとは去るだけ

簡単な水に砕かれた廃墟

南極にてひらかれた

ホッキョクペンギンの凍死骸


土人を縛るための電話線

ステンドグラスの向こう側

土埃がくすぐったい


喫水線の上から下から

動けなくなった

はらからのいななき


眼の高さを走る断面

入道雲が聖櫃のように横臥していた

荒廃の夏


あなたが床に

注意深く産み落とした

ちいさな卵を

足音も立てず踏みつぶした

見えない踊り子

宦官

皮をはぎたい

そこからあらわになる果物を

清潔な頬に充たしたい


渇いた噂が

凍える翼を

吹き過ぎていく山おろし


荷物は持たない

うたも聴こえない


大地を棄て

ふるさとにかえるだけ

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