変化。

「どうゆうこと?」

『だってあなた、強いでしょ?』

彼女が当たり前のように言ったその言葉は酷く俺の心に突き刺さった。


もちろん。当たり前だろ、5血族だぞ?

そう言いたかった。・・・でも言えなかった。

「・・・・・・シナン・クリスタ・マキナ。俺は5血族だ。だが、俺は、強くない。1級魔導師どころか魔導師になれるかどうか分からないほどに弱いんだよ。」


彼女は、目を見開いて驚いたような顔をしてこちらを見て言った。

「5血族とか関係なくて。私、そんな偏見するような人に見える?あなたは、強いわ。もしあなたが弱いと思ってるならそれは心の持ち用よ。もっと胸を張ったら?」

「いや、魔法能力が俺は全然ないんだぞ?」

彼女は呆れた顔で続ける。

「私は、人の魔法量を見ることが出来るわ。ついさっきあなたの魔法量を見たの。どれくらいあったと思う?」

あまり信じれない特技だが、嘘をついているようには見えないから、彼女の質問に答えた。

「一般以下だろ?」


「逆よ。1級魔導師なんか比にならないくらいの魔法量よ。だからさっきあなたは強いって言ったの」

彼女の言葉に俺も驚いたが、隣で話を聞いていた先生が1番驚いていた。

「待て。クリスタ・マキナは人の魔法量を見ることができ、それを使い、佐久間の魔法量を計ったら1級魔導師を遥かに超える魔法量だったとそう言っているのか?」

「そうよ」

「いや待て。俺は入学試験の時の魔法量は一般の10分の1だったんだぞ?そんな一気に昇格とかありえない」

俺の発言に先生は相槌を打つ。

「私の計測は確実よ」

「よし分かった・・・これは模擬戦で確かめるしかないな。佐久間。明日、筑摩と模擬戦をする筑摩には私から連絡を入れておく」

「待って下さい!そんな急に!」

「これは決定事項だ。反論は許さん。これにて解散だ。今日は早く帰れ」

言いたいことはまだ山ほどあったが反論しても無駄と思い教室をあとにした。



「シナン・クリスタ・マキナ。さっきの話はほんとなのか?」

後ろをついてきていた彼女に聞いた。

「シナン。フルネームで呼ばなくてもいい。あと、さっき話したことはほんと。」

「あぁ分かった。そうか。よく状況が掴めないけど、明日模擬戦は確定か」

そう言い、大きなため息をついてから彼女は道が逆らしいから、校門を出てからわかれた。



帰り道。少し昔のことを思い出していた。

『5年ぐらい前のこと。俺は親の仕事の関係である街に行っていた。将来俺もやる、仕事の見学程度で行ったそこで俺は母さんを亡くした。死因は事故・・・・・・そして、己の未熟さ。当時10歳の俺は、魔法を未だ使えずいた。魁都は4歳から使えているのに。母さんの隣にいた俺は何も出来ずに、母さんの死を見るだけだった。それから俺は、自分の未熟さを悔やんでいる』



「いつの間にか寝てたのか」

ベッドではなくソファに横たわる自分の体を起こし、家の中を確認する。

「父さんはいないのか」

確認を終えるとさっさと支度を済ませ家を出た。



「優!」

昨日のことを考えながら校門をくぐろうとすると背後から魁都が呼ぶのが聞こえて振り返った。

「あっ・・・・・・魁都か」

「あっ、てなんだよ。あっ、て。先生から聞いたぞ!優の魔法量が格段に上がったらしいから模擬戦をしてくれって!それ本当か!?」

「いや、分からない。でもシナンが言うにはそうらしい」

「シナン?」

魁都は首を傾げ聞いてくる。

俺は何かおかしいことを言っただろうか。

名前は魁都が教えてくれたし。

「シナン」

「なんで名前で呼んでんの!?もうそんなに仲良くなったのか!?」

そういうことか

「違う。シナンがそう言えって。」

「いや、でもそれ普通許さないぞ?」

「魁都に普通って言われたくないけど」

「それとこれとは別だろ?」

何が別なんだか

それを言葉には出さず、下駄箱に向かった。



「佐久間!」

ふいに名前を呼ばれ振り向くと、そこには、神楽先生が立っていた

「あっ先生。どうしたんですか」

「あっあぁ。筑摩も一緒か。なら話が早い。模擬戦なんだがこのあとすぐになった」

「このあとか!楽しみだ!」

「ほんとにやるんですか?」

先生は迷う素振りも見せず答えた。

「あたりまえだ。5血族、佐久間家、後継者、覚醒。」

連想ゲームか。そう思ったがまだ続けて喋るようだったから、言わず聞くことにした。

「これははっきりさせておかなければならない、今後のために、な」



模擬戦会場の準備室。

「1年で入るの、魁都と俺が最初だろうな」

大きなため息をつき、着替えを始めた。

魔法学院のウェットスーツは高性能と聞いていたが至って変わった点はなく、柄が黒に赤のラインとかっこいいぐらいだった。



「来たか優」

向かいには同じウェットスーツを着た魁都がいた。

「ほんとにやるのか」

魁都にも聞こえないぐらい小さい声でそう言った。

「両者揃ったな。準備はいいか?」

模擬戦会場全体に響き渡った神楽先生の声に答えるよう、魁都と俺は手を上げた。


「それでは始める!・・・・・・GO!」

掛け声がかかった瞬間、魁都は地面を蹴り俺に接近!

加速魔法かそくまほうか!」

魁都そのまま俺の顔を殴る!

俺は後方にぶっ飛び倒れたが、すぐに立ち上がった。

「・・・・・・どこだ。」

周りを見渡しても魁都は見つからない。必死に探していると観客席から「うえ!」と聞こえた。

その声を聞き、上を向くと魁都がいた!

魁都は上方からとてつもなくでかい炎を撃とうとしている。

豪炎ごうえんかよ。やっぱ何もできないじゃないか、俺。」

諦めかけ上方から目をそらし地面を見ようとする途中、目に入った。確かに目に入った。

「シナン」

無意識の中不意に出た言葉だった


「・・・・・・獄炎ごくえん

これまでに撃ったこともない魔法名称を知らず知らずのうちに口に出し、知らず知らずのうちに、魁都に撃っていた。

それは、魁都に直撃し地面に落下。

続けざまに口が勝手に動く。

雷雨らいう

立とうとしている魁都にそれも直撃し、立つのを邪魔し、またさらに口が動いた。

地獄門デスゲート!」


「A級魔法!?ストップだ!佐久間!試合終了だ!」

その言葉に魔法の発動をやめる

少し間が空いてから先生が模擬戦会場に響かさした



『佐久間 優の勝ちだ!』

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俺が魔法を使えるたったひとつの理由 @twilight1117

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