第2話 哲子、夜の街へ繰り出す!

 その夜。


哲子はテキーラを二、三杯引っかけ、歓楽街すすきのへと向かいました。


そして、かっこいい男性がナンパしてくれるのを待っていました。


しかし、一時間経っても誰一人振り向いてくれません。


このままでは埒が明かないので、哲子は勇気を振り絞って自分から誘ってみることにしました。


「まずは誰に声かけようかしら…。若くてかっこいい人、いないかしら。あっ、あの人いいわ」


手始めに哲子にロックオンされたのは、大学生くらいの塩顔男子でした。


「うふっ。お兄さ~ん、アタシと朝までアツくなるコトしな~い?」


「ひっ…」


塩顔男子はお化けでも見たかのような驚きぶりで一目散に逃げていきました。


「逃げることないじゃない。恥ずかしがり屋さんねぇ。きっとチェリーボーイなんだわ」


哲子はちっともめげずに次々と若い男性に声を掛けていきました。


しかし、哲子の逆ナンになびく男性は誰一人いませんでした。


「全然収穫ないわね。やっぱり肉食系女子って引かれちゃうのかしら。こうなったらもう、贅沢は言ってられない。男なら誰でもいいわ」


哲子はべろべろに酔って地面に座り込んでいる、六十代のハゲたおっさんに近付いていきました。


「こんばんは。私が介抱してあげましょうか?」


「おお~?」


おっさんは顔を上げ、哲子を見て首をかしげました。


「お袋ぉ…なんでここにいるんだぁ?」


「ま、失礼しちゃう!」


哲子は腹を立て、おっさんにくるりと背を向けました。


「お~い、待ってくれよお袋~。俺を置いていくのかよ~。こんなところで寝たら風邪ひいちまうよう~」


「そこで死に腐れ!ハゲ!」


汚い暴言を吐き捨て、哲子は猛然と去っていきました。




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