哲子67歳☆恋して焦げて狂い咲き♪～哲子シリーズ②～

第1話 おわかれ！

　岩倉哲子（いわくらてつこ）。御年67歳。元中学校教師。結婚歴、出産歴なし。現在、月四万五千円のボロアパートでフィアンセの川越郡兵（かわごえぐんぺい）（65歳）と同棲中。

それは、郡兵と同棲し始めて一か月が経ったある日曜の朝のことでした。

「おまたせ、郡ちゃん、朝ごはんよ～」

いつものようにコンビニで買ったサンドイッチとコンビニで買った卵焼きとやはりコンビニで買ったヨーグルトと牛乳を食卓へ運んだその時。

「なぁ、哲子」

正座して畏まったまま、郡兵はぎこちなく切り出しました。

「俺達、やっぱり別れよう」

哲子はショックのあまり、口に運びかけていた卵焼きを床に落としてしまいました。

「郡ちゃん、冗談よね？」

「…」

「どうしていきなりそんな…」

「…子供ができたんだ」

「嘘…！酷いわ！浮気してたのね！」

「違うよ、お前の前に付き合っていた女性なんだ。お前と付き合い始めてからは浮気なんてしてないよ。でも、子供の父親として責任を取らなきゃいけないから…」

「酷い…酷いわ！また私を捨てるのね！」

「ごめん、哲子――――」

「このクソ野郎！とっとと出てけ！」

哲子は卵焼きをむんずと掴み、群兵に向かって思い切り投げつけました。

卵焼きは見事郡兵の顔面に当たって砕けました。

郡兵が出ていった後、哲子はちゃぶ台に突っ伏して大号泣しました。