13
田園風景はやがてまた鉄筋コンクリートが転がる荒れ地となっていき、やがて瓦礫と雑草や蔦が絡まる道となっていった。
人が住めそうな家は一軒もない。倒壊した大きな梁や柱だったであろうコンクリートとそこから生える錆びた鉄筋が目立つばかりだ。
車は雑木林に暫く入ったところで、ゆっくりと停まった。
すると、雑木林の中から泥だらけの迷彩服を着て武装した五〜六人の男達が現れた。
「なっ、何だあいつら!」鮫川は思わず叫んだ。
「
「ジャックか?」その中の一人が尋ねた。
「そうだ、ジャック・バウアーだ」鮫川は少しはにかんで答えた。
「連絡は受けてる。そっちのデータは持ってきたか?」
「ああ、大したデータじゃないけどな」鮫川は大貫から預かった薄っぺらいファイルをダッシュボードから取り出して男に渡した。
「俺の名は出島、
DDは仲間を一人ずつ紹介した。全員日本人で、どうやらコードネームのようだ
中にはやけに無骨で大きな小銃を持っているものも居たが大抵は輪胴式の自動小銃を肩から下げていた。
鉄筋コンクリートのジャングルを十分程歩いた頃、巨大な岩に取り付けられた観音開きの鋼鉄のドアが姿を現した。
ドアを開けると、幅十メートル、高さ五メートル程のトンネル通路が下り気味にどこまでも続いていて、壁には所々小さなLEDライトがついていたが、薄暗かった。
五分ほど歩くと、通路いっぱの幅があるプラットホームが見えてきた。長さは十メートル以上あり、プラットフォームの先は急な坂になっていた。
斜めに上下する壁のないエレベーターというところだろうか。
プラットフォームの横には操作台があり、ドギーと呼ばれた男が幾つかのボタンを押したりレバーを操作すると、ガタンと大きな音を立てて、プラットフォームが下降していった。
「元自衛隊の秘密工場だよ」DDが下を見つめたまま言った。「かつてはここで戦車や自走砲の開発が行われていた」
鮫川が思った以上に大きな基地なようだ。
男達は無駄口を叩かなかった。黙って黙々と自分の仕事をこなしていた。
やがて、巨大なプラットフォームは終点についた。(途中駅はなかったが)
その先はまた通路になっていて、幾つものパイプが天井や壁にうねっていた。
その奥は工場になっているらしく、やかましい騒音が響いていた。
プラットフォームが行き着いた先には、五歳から十歳くらいの男の子や女の子がはにかみながら出迎えてくれた。どの子も破れかけて汚れた服を着ていた。
ここがかなり不衛生でひもじい場所かすぐに見当がついた。
寝待ちても、未だ来ぬ故、散りぬる世 相生薫 @kaz19
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