第4話 神は・・・
「・・・天咲さん・・・・よかった・・・」
「八神君・・・どうして・・・・・?」
天咲が、死からか解放されるために、学校の屋上から飛び降りた先は、本当の天使たちがいる天国・・・ではなく、見知らぬ病院の天井だった。
「・・・頭を少し打ったみたいだけど・・・大丈夫・・・学校の木がクッションになってくれて・・・」
「・・・・・・・・・・・」
彼女は、僕の言葉を聞き終わる前に、目を閉じた。
「・・・・・天咲さん・・・・つい前まで・・・死のうと思っていた僕の命を救ってくれた君が・・・死のうとするなんて・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「自殺しようとしていた僕を救ってくれた君が、先に死のうとして・・・そして僕がそれを助ける・・・」
「八神君・・・」
いつの間にか、僕との神様と天使ごっこを止めた天咲さんが、僕を真っすぐ見つめた。
「・・・・八神君・・・私はね・・・あなたなら私を救ってくれると思っていたのかもしれない・・・」
自分の両手の指を、白いベットのシーツの上で絡ませて、天咲さんが言った。
「僕が・・・・?」
「私は・・・死ぬのなんか・・・本当は怖くなかったの・・・きっと・・・本当の天使がいて・・・自由で・・・苦痛も不安も何もない天国に行けると思ったから・・・でも・・・屋上から飛び降りた時・・・あなたの・・・八神君の顔を・・・見ちゃった・・・見るつもりはなかった・・・のに・・・あなたの顔が・・・私に・・・まだ・・・生きる喜びを与えてくれた・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「死ぬことは、始まりじゃ・・・ないよね・・・?」
「もちろん・・・」
僕は、天咲さんの手を、反射的に自分の手で握っていた。
「あっ・・・」
「神様だぜ・・・・?僕は・・・」
「・・・・そうか・・・そうだよね・・・八神君は・・・神様・・・じゃない・・」
「君がどんな身体だろうと・・・どんなに絶望しようとも・・・僕は君の神様だ・・・勝手に死ぬなよ・・・君が死ぬときは・・・僕が死ぬ時だ・・・神様が命令するまで・・・死ぬんじゃない・・・いいね?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「うん・・・はい・・・神様!」
そして、僕と天咲さんの、痛い神様ごっごは、まだ続くのであった。
つづく
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