第3話 神は友達がいなくても大丈夫!

天咲さんと僕は天使と神として、学校生活を不自由しまくりで過ごしていた。周りからは奇異な目で見られるし、変な噂がみんなの中で広がり始めても、天咲さんは、気にしていない様子だった。


「あいつら・・頭がおかしいのは勉強しすぎじゃね?」


「クスリでも二人でやってるのかな?」


「あの二人と関わらない方がいいぜ。まったく受験勉強の時期に何やってんだか・・・」


僕ら二人は、愚民どもの愚かな愚痴に付き合いきれなくなり、次第に授業にもでなくなっていった。


そうすれば、教師も親も、あきれ果てて、何も言わなくなっていった。


「天咲さん・・・」


授業をさぼって僕と天咲さんは、学校の屋上で、青い空を見ていた。


「神様・・・どうしたんですか・・?」


天咲さんは相変わらず、神様ごっこを辞めるつもりはないらしい。


「僕はもう・・自殺なんかしないし・・死ぬつもりもないからさ・・・もう・・・これ・・辞めない・・・?」


「何を?ですか?」


天咲さんは青い目で、僕を見てくる。まるで本当の天使のように。でも青いのは、この空の青さが目に映っているだけだ。僕の心臓が高鳴るのも、きっと青い天咲さんの目に驚いているだけなのだ、うん。


「・・・その・・・・神様・・・ってやつ・・・」


照れくさい顔で、僕はいった。神のように。


「え・・・?」


僕は、目を逸らしながら言った。


「だって・・・僕たち・・・みんなから変な目で見られているし・・・友達もいなくなった・・・僕はそれでもいいけど・・・天咲さんは・・・」


「・・・・・・・・・・・」


「・・・・・私も・・・友達・・・いないですよ・・」


「えっ・・・?」


屋上のフェンスの上に、いつのまにか、天咲さんは、立っていた。


「ちょっ・・・なに・・・天咲さん・・・」


危ない、という言葉が出てこなかった。彼女は、青い空、白い雲の風景の一部に、いつの間にか、溶け込んでいたからだ。


その姿は、まるで・・・


「神様・・・私の運命・・・・救ってくれます・・・?」


「えっ・・・・」


突然、天咲さんは、わけのわからないことを言い始めた。


「・・・・八神君・・・私・・・あなたなら・・・何とかしてくれると思って・・・」


「えっ・・・ちょ・・・天咲・・・さ・・・」


彼女の瞳が、途端に大きくなった。


彼女の小さな声が、遅れて聞こえて、


そして


風の音に混じって、彼女の断片的な言葉が、八神の耳を切り裂いた。


「ワタシ・・・もうすぐ・・・


死ぬ・・・んです・・・


いき・・・られ・・・ない・・・



です・・・





不治の


やまい


だか


ら・・・」


「天咲さん!!」


天咲さんの小さな体が、宇宙の風に乗って


ふわりと、八神君の目の前で


空に舞った。


屋上のフェンスから、


ゆっくりと


つづく

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