門を潜って庭へ。モカは中に居るようだった。

 とりあえず扉を開けて中へ入る。

「ひあっ!?」

 モカの悲鳴というかなんというか。そちらを見れば今度は裸のモカが。なんだ、ラッキーなんだかアンラッキーなんだかよくわからないな……。

 ある意味幸運である。一日に二人もの女性の裸を見れたのだから。

 しかし、紳士としての那月悠椰を見せるために、

「おっと、失礼。」

と、脇目をめっちゃ振りながら外に出る。

 大きさは妖精と同じくらいだが、モカのほうが凹凸があるように見えた。

 ちなみに、その“大きさ”は、150cmくらいである。めっちゃ小さい。でも妖精より、どことは言わないが大きい。

 まあ、なんにしても目の保養にはなった。モカが服を着終えるまで、暫く遠くを眺めてすごすとしよう。

 とりあえず縁側に寝そべってくつろいでみる。

 遠くにはどうせ魔物だろう、前にも見た気がするトカゲみたいなのが二匹対峙し、威嚇し合っていた。

 なんとなく左側に居るトカゲを応援してみよう。

 右が左にのしかかる。と左も負けじと押しかえす。

 結局決着が付かないうちにモカが着替えを終えたようで、いつもの和服を着たモカが後ろの障子を開けた。

 顔を見ればとても赤くなっている。最初の数倍は赤くなっている。でも、怒っている様子はないので一安心。とても恥ずかしかったようであるが、俺も一度見られているのだからお互い様というものだろう。

 俺のが見られてよくてモカのが見られてよくないとか、そういう考え方は認めないので悪しからず。

 さて、とりあえず普通に戻った空気で先ほどあったことをモカに話してみる。もちろん、リラがド変態で終始全裸だったということは黙っていたが。

「そういえば、昔森に住む妖精の話を聞いたことが……。」

 どうやらモカには心当たりがあるらしい。

「なんだか友好的だったが。」

「お茶を、貰わなかった?」

「ああ、貰ったぞ。おいしかった。」

何か、それが関係しているのだろうか。あの林檎風味のお茶はとてもおいしかったが。

「どんな味がした?」

「ああ、それなら林檎っぽかったな。」

「えっ…………。」

どうやらモカは何か思うところがあったらしい。黙ってしまった。ただ、そんな黙られても、どう反応していいかわからないのだが。

「ううん、なんでもない。」

 おそらく何でもなくはないのだろうが、おそらく聞いても仕方はないだろう。


 そろそろ昼食を食べたくなってきた。

「なあ、モカ。何か食べるものないか?」

 思い返してみれば今日腹に入れたのはあの林檎風味の紅茶だけである。そりゃあ腹も減るわな。

「食べるもの……あっ、私があ」

「おいまて早まるな。普通の食事をさせてくれ。」

 なんだかモカが大変にいけない思考を持ち始めたので静止、さすがの俺とてこれはマズいと思うぞ。

 そして結局は普通の食パンが出されたわけだが、急にいけない思考をしだしたこの女をどうしてくれよう。

「だってだって! 男の子に裸見られたんだよ!?」

「はいはい、それくらい気にすんなって。ていうかお前も最初俺の裸見たろ。お互い様だよ。」

「うぅ……確かに……。」

 なんだか有耶無耶になったが、もう、そんなことはどうだっていいや。別に、気にすることでもないだろう。


 さて、一息ついたところで、また街へ繰り出すことにした。何か大切なことを忘れている気がするが、まあ、忘れるってことはそこまで大切じゃないんだろう。

 どうしよう、これでとてつもなく大切なことだった、とか言われたらどうしよう。


 街へ到着すると、なにやら不穏な空気が漂っていた。今朝とはまったく違う、なんとも形容し難い、そういった空気である。人々は占い師だと名乗る女のもとへ殺到していた。

 無理やり表現するのならば、宇宙戦艦ヤ○トのときのガミ○スに遊星爆弾だかなんだかを初めて打ち込まれたときみたいな、そんな空気である。どうでもいいが、俺はヤ○トよりもガ○ダムのほうが好きである。

 モカも少し不安げな表情を浮かべるなか、俺たちもその占い師とやらの近くへよっていく。

 そして占い師が言い放ったのは、


「この世界に、いずれ邪悪なる存在が攻めてくる!」


 そんなようなものだった。

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