第3話 家族、仲間の絆は強し

 父の頼みは夏休みを水につかり品物にならなくなったものを全て洗浄することだった。僕たちは早速次の日から僕はラジオ体操に行った後、兄は事情を説明し部活を休んでそれを開始した。兄の通う公立の中学校、そして僕の通う小学校はともに被害があり、体育館が使用できないため夏休みは立ち入りを禁止された。それで兄も部活を休む時顧問から二つ返事で許可が下りた。僕たち3人は食事以外はその手伝いにほとんど費やしていたが、さすがに夜は風呂と宿題、そして睡眠にあてた。今回の災害は遭っても、夏休みの課題はそのままなので僕たち兄弟はそれを全て熟さなければならなかった為、それは父も許していた。僕たちがそんな風に夜を過ごしている間も工場には以前と同じく明かりが灯っていた。以前と異なっているのは開けた窓のほうから蛇口をひねる音、水が流れる音が聞こえることだった。そう、父はもう夜10時にもなろうとしている時間でもまだ続けているのだった。僕たちが洗浄する品物の数は1000個は軽く超えLLサイズの段ボール10個あったが、開始した日から一週間たったがその個数はまだ8個あった為、夏休み中に終わるかどうかも微妙な進行状況で芳しくなかった。それでも、父はおそらく僕らに迷惑をかけないようにか、職人として納期までに顧客に最高の品物提供するという職人としてのプライド故かのどちらかに突き動かされてで夏休み中に終わらせ気だと僕は思っていた。

 それから、2週間たって段ボールの数が急激に減った理由は父の友人や仕事仲間の人が手伝いにわざわざ僕たちの手伝いに来てくれたからだった。彼らは父に頼まれたわけでもないのに、父の驚いた様子から自主的に来たようだった。僕はあの寡黙な父に頼りがいのある友人や仲間に囲まれている光景に驚いていたが、作業を続けた。彼らは洗浄だけでなく父のようにやすりで品物を磨いたりして手分けをして作業をしていた。僕たち兄弟は磨く技術はないから、洗浄のみだったが彼らはその技術もあるようで、父は洗浄後の品物を分配しており、あまり表に出さないが以前の覇気のある表情に戻り、何だか楽しそうに見えた。少し気落ちしていた母も僕たちや手伝いに来てくれた彼らに料理を振る舞ったり、夏で気温30度を超えていた為アイスを持って来たり生き生きとしていた。そんな状況下でも、父が夜に工場で仕事をしている生活は変わらず、僕が就寝する夜11時前にその工場の明かりが消えたことは洗浄が終わる8月中旬までもそれ以降も決してなかった。そう、父はきっと異常者なんだと僕は思った。

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