第7話 仕立て屋

「ただいまー、あれ?ドラール!来てたんだ」

不意に入って来た少女がドラールを見て嬉しそうに声を上げる。

ミディアムボブの髪を揺らして駆けてくる。

セリンのように耳が尖っているが、眩しいほどに肌は白かった。

「早かったな、ミアン。」

セリンが席を立ちつつ、声をかける。

「うん、ラボナが思ったより早く離してくれて。いい布はなかったんだけどね。」

ミアンと呼ばれた少女はたはは、と頭を掻く。

ドラールに負けず劣らず美少女だ。

「仕入れ屋は五月蝿いからな…」

「彼女はミアン。セリンの双子の妹だよ。

で、ラボナって言うのはこの町の大商人なの。

リナのとこの近くだから行った時寄ろっか」

ドラールが説明をしてくれる。

「そっちは……あ、そっか。入れ替わりの時期だもんね。今回はドラールのところなんだ、名前は?」

ミアンは僕の顔を覗き込むとそう一口で言った。よく回る口だ。

「翔平、です」

少し圧倒されながら答える。

セリンに、ミアン。2人の仕立て屋。悪い奴らじゃなさそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る