鳥小屋の歌
春風月葉
鳥小屋の歌
庭の少し背の高い木の枝の上、今は誰も住んでいない赤い屋根の小さな鳥小屋。
少し昔、それこそ数年程前に小屋の住民達は季節の移り変わりよりもやや早くに飛び立ち、遠く南の方へと消えていってしまった
小鳥達の囀りが恋しい。
いつか彼らが帰って来るようにと残しておいた鳥小屋も、月日の流れと共に色褪せていき、庭の木も枯れていってしまった。
壊そう。
私は数年間残しておいた小屋をついに壊した。
もう小鳥の歌を思い出すこともないだろうと、そう思っていた。
二ヶ月、また少しの月日が経った。
まだ薄暗い朝、枯れた庭の木の下で小鳥達の悲しい鳴き声が聞こえた。
小鳥達も今、聞こえているのだろうか。
私の歌を、涙の歌を、この空虚なる再開の歌を…。
鳥小屋の歌 春風月葉 @HarukazeTsukiha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます