第3話:俺は覚悟を決めた。(仮)戦闘(?)だ!だ

 ファイティングポーズを取り例の狼と対峙している俺は緊張していた。そりゃそうだろう。日本にいる時にこんな獣と命懸けで戦うことなどないのだから。


  狼はいつ攻撃を仕掛けるかとタイミングを伺っている。


  一方の俺は足腰ガクブル。酷い有様だ。覚悟を決めてもダメなものはダメ。逃げられそうもないが、こちらから仕掛けるなど勇気が出ない。


 


  狼の足に力が入り始めたのが分かる。瞬間、膠着状態が解けた。


  辺りの風を纏い、俺に向かって一直線に飛んでくる。




  「あれ、遅いんだけど…」


  そう感じたすぐあと、俺は右方向へステップした。狼の突進をギリギリの位置で避け、そのままこめかみに裏拳を入れる。


  (グゴギキッ)


  痛々しい音が手からの振動で伝わってくる。


  裏拳を入れられた狼は体の制御を失い、着地の体制を取れずに落ちる。そして、そのまま動かなくなった。




  「呆気なさすぎる。こいつ、弱かったのかな。」


  などと考えながら、手を死体にかざし“収納したい”と念じる。派手な演出もなく、消えるようにそれはなくなった。どうやらアイテムボックスに収納されたようだ。


  自分の命を狙ってきた獣だ。1度お互いの命を舞台にあげた以上、それを奪った罪悪感は無かった。もっとも、今まである程度以上の大きさの命を直接奪った訳では無かったため、確証はなかったが…。




  こうして俺の異世界での初戦闘は、呆気ないほどすぐに終わった。


  異世界でも上手くやっていけそうだ。そう感じた瞬間だった。






  一息ついた俺は、ふと思い出しステータスを確認する。自分の能力値が上がってるのではと考えたのだ。




 レベル:14(1>>>>14)


 HP :392(+42)


 MP :563(+43)


 STR:441(+41)


 DEX:440(+40)


 VIT:445(+45)


 INT:442(+42)


 AGI:443(+43)


 MND:442(+42)


 LUK:1500




  おぉ、結構上がってるな。1つレベルが上がる事に大体3程上昇するのだろう。もちろん誤差はあるみたいだが、いいことを知れた。それにしてもこの調子だと、すぐに騎士団長やら、宮廷魔術師長に追いついてしまうのではないか。彼らですら十分に人間をやめているのだが…。。




  柚月は自分のレベルが上がり、嬉しさで頬を緩めながら街へと向かって再び歩き始めた。


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